【9月11日 AFP】8月末にレース中の事故で死亡したフランスのレーシングドライバー、アントワーヌ・ユベール(Anthoine Hubert)選手の葬儀が10日、フランス中部の町シャルトル(Chartres)で行われ、悲しみに暮れるモータースポーツ関係者も数多く参列した。

 葬儀は市内の歴史あるシャルトル大聖堂(Chartres Cathedral)を会場に、建物の外にユベール選手を映し出した大型ビジョンが設置される中、3時間を超えて営まれた。その中で、父親のフランソワ(Francois Hubert)さんや、元F1ドライバーのアラン・プロスト(Alain Prost)氏、恋人のジュリー・ラジュー(Julie Lajoux)さん、友人代表、古くからの後援者が、数百人の参列者の前で代わる代わる弔辞を述べた。

 ユベール選手をサポートしていたルノー(Renault)を代表して弔辞を述べたプロスト氏は、「笑顔と前向きなエネルギー、それが私たち全員が持っている君のイメージだ」と話し、「優しさと好奇心、知性、プロフェッショナリズム、思いやりを持った」若者だったとユベール選手を振り返りながら、「理解力と完璧を目指す姿勢を持つ君には、明るい未来が待っているはずだった」と惜しんだ。

 またジュリーさんは、フランス国旗を誇らしく手にする恋人の白黒の肖像の前で、「私たちの情熱が、二人を引き離したなんて信じられません」「私がどれだけこのスポーツが嫌いかをあなたが知ってくれていたら。その情熱は、私たちをめぐり合わせると同時に、あなたの命を奪いました。このスポーツがどれだけ危険かを、私は忘れていたように思います」と語った。

 後援者の男性は、ユベール選手が今季フォーミュラ2(F2、FIA F2選手権)のモナコとフランスで勝利を挙げていたことを指しながら「君は過小評価されることが多かった」「しかし今年、君は本当の姿、真の『レーサー』であることを皆に示していた」と話した。

 参列者の中には、モナコ出身のシャルル・ルクレール(Charles Leclerc)、フランス出身のピエール・ガスリー(Pierre Gasly)、エステバン・オコン(Esteban Ocon)という現役F1ドライバーの姿もあった。3人とユベール選手は、カートレーサー時代からの友人であり、ライバルだった。

 ユベール選手とともに事故に遭ったジュリアーノ・アレジ(Giuliano Alesi)も、父親で元F1ドライバーのジャン(Jean Alesi)氏と一緒に参列した。同世代の選手としては、元F1王者ミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)氏の息子ミック(Mick Schumacher)も出席した。

 ユベール選手は先月31日、ベルギーのレースで3台が絡む衝突事故に遭い、22歳で命を落とした。(c)AFP