■人間の作曲家はいらない?

 このプロジェクトによって、興味深い問いが提起されたと専門家らは指摘する。

 ドイツ人工知能研究センター(DFKI)のアリョーシャ・ブルヒアルト(Aljoscha Burchardt)氏は、「AIの知能がそれほど優れているなら、未完の名曲を完成できるのではないかといった疑問や、AIが完成させた音楽はそんなに素晴らしいものではないのではないかといった問いが思い浮かぶ」と指摘する。

「恐らく楽曲というものは一定の論理に従って作られていて、過去にそれを会得していたのは偉大な作曲家だけだった。今は機械もそれができる。問題はそこだ」

 コンピューターが人間の作曲家には太刀打ちできないスピードで作品を大量生産すると、曲の価格が下がるかもしれない。だが、AIソフトの力を借りずに曲を書いているアーティストたちは、特別料金を請求できるようになるかもしれないと、ブルヒアルト氏は言う。

 一方で、AIにも人の手がやはり必要だと、音楽業界でのキャリアが長いオーストリアのクリスチャン・シャイブ(Christian Scheib)氏は主張する。

「たとえ非常に精巧なAIを使用しても、(楽曲の出来は)それぞれの作曲家に備わった芸術性や技術にかかっている」とシャイブ氏は述べた。

 映像冒頭がAIソフトが作曲した6分間の「マーラー風」楽曲の一部。このほか、未完の交響曲第10番の演奏や、祭典でステージに立つロボット。6日撮影。(c)AFP/Julia ZAPPEI