【9月12日 AFP】世界的な人気を誇る英テレビドラマシリーズの貴族一家が9日、スクリーンデビューを果たした。ロンドンのレスタースクエア(Leicester Square)で、映画版『ダウントン・アビー(Downton Abbey)』のワールドプレミアが行われたのだ。

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 テレビシリーズでは1912年から1925年の大みそかまで、貴族のクローリー(Crawley)家の人々と使用人たちの悲喜こもごもの日々が、歴史上の大事件を織り交ぜながら描かれた。

 シリーズは9年間続き、好評のうちに2015年に終了したが、ドラマ版の主人公たちがこのほど、映画版で華々しくカムバックを果たした。

 映画版の舞台は1927年。クローリー一家が英国王ジョージ5世(King George V)とメアリー王妃(Queen Mary)の訪問を待ち受けるというストーリーだ。この前年、英国ではスタンリー・ボールドウィン(Stanley Baldwin)首相に反発する労働者たちによるゼネストが起こっている。

「ダウントン・アビー」の原作者でテレビ版と映画版の両方で脚本を手掛けたジュリアン・フェロウズ(Julian Fellowes)氏は、プレミア上映を前に「ドラマシリーズが終わったときは、映画を作りたいとは特に思っていなかった。だが、映画が見たいという声が大きなうねりのように高まって、それで映画化が実現したんだ」とAFPに語った。

 映画版ではドラマシリーズの主要キャストが再集結。舌鋒(ぜっぽう)鋭いグランサム伯爵未亡人を演じた大女優、マギー・スミス(Maggie Smith)さんも、当初はパリパリにのりのきいた伯爵未亡人のドレスはもう着たくないと渋っていたものの、無事出演している。

 この他、「ハリー・ポッター(Harry Potter)」シリーズで魔法学校の先生ドローレス・アンブリッジ(Dolores Umbridge)を演じたイメルダ・スタウントン(Imelda Staunton)さんが新たにキャストに加わった。スタウントンさんはレディ・バグショー(Lady Bagshaw)を演じる。

 スタウントンさんの夫は、ダウントンシリーズで執事チャールズ・カーソン(Charles Carson)を演じたジム・カーター(Jim Carter)さんだ。映画版でカーソンは執事を引退している。

 ダウントン映画版で夫婦共演となったスタウントンさんだが、残念なことに撮影現場の夫は執事のように奉仕してくれなかったようだ。「あの人には何にもしてもらえなかった!だって、いつもダイニングルームでは向こう側にいるのよ」と、スタウントンさんは怒ったふりをしながらAFPに話した。

 ダウントンのテレビシリーズは世界200か国以上で放映され、およそ1億2000万人が視聴。米国のゴールデングローブ(Golden Globe)賞やエミー(Emmy)賞を受賞し、本国でも英国映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)の賞を受賞している。

 著名人にもファンが多く、運転手のブランソンを演じたアレン・リーチ(Allen Leech)さんは、ホワイトハウス(White House)を訪問したときにミシェル・オバマ(Michelle Obama)米大統領夫人(当時)に会ったと、AFPに明かした。(c) AFP / Pauline FROISSART