【9月13日 Xinhua News】中国北京市の薬局「百康薬房」朝陽門外大街店の当直担当者、高艶艶(Gao Yanyan)さんは、ある大雨の日の午前0時過ぎ、「子どもが発熱したので解熱剤が必要です」という女性から電話を受けた。

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 女性は、中国ネット通販大手の京東集団(JD.com)のサイトを利用して薬の宅配サービスを依頼した直後で、電話は店舗への注文確認だったという。高さんがすぐに配送員に連絡したところ、配送員は10分もかからないうちに店舗に到着した。

 インターネット・プラットフォームを利用した薬の夜間配送は、テクノロジーが後押しするナイトタイムエコノミー(夜間経済)発展の一つの縮図となっている。テクノロジーに支えられたインターネットは、多くの実店舗が夜間に行うことが難しかった業務を可能にし、市民生活を非常に便利にした。

 中国社会科学院財経戦略研究院インターネット経済研究室の李勇堅(Li Yongjian)主任は「インターネットは小売業に力を与え、ナイトタイムエコノミーの範囲を拡大した」と指摘した。また、電子商取引(EC)プラットフォームは、市民のために指先上の「夜市」をつくり出す一方で、オン・オフラインの連携によってオフライン小売業の効率も向上させたと述べた。

 中国ネット通販大手のアリババグループがこのほど発表した夜間経済報告書は、同社のネット通販サイト「淘宝網(タオバオ、Taobao)」では、夜間の取引量が全体の36%を占めていると明らかにした。京東ビッグデータ研究院がこのほど発表した「2019上半期インターネット夜間経済報告書」は、北京市、天津市(Tianjin)、重慶市(Chongqing)の消費者はペット用品の購入が多く、青海省(Qinghai)、雲南省(Yunnan)、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)の消費者は酒類の購入が多いなど、各地のナイトタイムエコノミーの特色を描き出している。

 オフラインの小売業もインターネット技術を積極的に吸収するとともに、営業時間を延長していることは、注目に値する。

 生鮮食品スーパーマーケットチェーンの「全家愛喫」では毎日、午後11時の閉店前までに在庫処分を行う。午後8時50分に商品の1割引き販売を始め、その後10分経過ごとに1割ずつ販売価格を下げ、最終的に無料宅配サービスも追加される。顧客は事前に携帯アプリで注文し、来店して商品を受け取ることができる。

 ある全家愛喫の店舗では午後10時半ごろ、多くの「銀髪一族(シニア世代)」が商品を受け取る様子が見られた。全家愛喫は営業時間が長く、従業員も非常に少ないが、毎日生鮮食品の在庫処分ができている。全面的なデジタル化による管理が、高効率な運営を支えている。

 李氏は、インターネット技術の応用と結びついたナイトタイムエコノミーは、全ての地域、季節、人々、業態に向かって発展していくと述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News