【9月9日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2019)の男子シングルスでダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev、ロシア)との激闘を制し、19回目の四大大会(グランドスラム)制覇を果たしたラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が、記録更新や世界ランキング1位奪還よりも、トッププレーヤーの仲間に長くとどまり続けることを重視していると話した。

 33歳のナダルは8日、メドベージェフとの4時間49分に及んだ戦いを7-5、6-3、5-7、4-6、6-4で制し、大会通算4回目、グランドスラム19回目の優勝を飾った。表彰式ではこれまでのグランドスラム優勝を祝する映像が流れ、これにはナダルも涙を見せて「とにかくすごくうれしい。きょうはこのトロフィーが自分にとってすべてだ」と話した。

「最後の3時間は本当に激戦で、精神的にも、肉体的にも本当に厳しかった。映像もそうだが、観客の皆さんは常に最高だった。そうしたもろもろのことがあって、本当に特別な瞬間になった。忘れられない瞬間だ」

 この優勝で、ナダルはロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)が持つグランドスラムの男子シングルス最多20勝まであと一つに迫り、16勝で僅差の3位につけるノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)との差を広げている。それでもナダルは、重要なのはグランドスラムの勝利記録よりも、長くトップレベルで現役を続けることだと強調している。

「もちろん、一番勝っている人になれればいいが、そこは目指していないし、そのために毎日練習したり、試合をしたりしているわけではない」「僕がテニスをやっているのは、テニスが大好きだからだ。グランドスラムのことだけは考えられない。テニスはそれ以上のものだ」「だから、残りの部分も考える必要がある。僕にとってプレーは喜び。もちろん、勝てればものすごくうれしい」

 ナダルにとっては、追いすがるメドベージェフを振り切って激戦を制した充実感の方が、トロフィーのコレクションを見比べる楽しさをはるかに上回るようだ。

「この大会がファンを引きつけ、関心を呼んだのだとしたら、それはテニスというスポーツにとって良いことだろう? この戦いに参加できたのを光栄に感じている」

「だけど繰り返しになるが、あっちのが多い、こっちのがちょっと少ないと、隣をずっと気にして過ごしていたら気が休まらない」「これまでのキャリアで、僕は昔思い描き、夢に見たのをはるかに上回る実績を挙げることができた」

「確かに最多記録をつくれるに越したことはない。だけど到達できたら喜びが増すとか、できなかったら減るとかいったことは全くない」「僕に喜びをもたらすのは、ベストを尽くした充実感だ。その意味で、今の僕はすごく心穏やかだし、自分に心から満足している」 (c)AFP/Jim SLATER