【9月8日 AFP】英政権の主要閣僚の一人、アンバー・ラッド(Amber Rudd)雇用・年金相(56)が7日、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)をめぐる対応に抗議し、辞任した。分裂状態にある英国で、第2次世界大戦(World War II)以降最大の政治危機を乗り切ろうと腐心するジョンソン氏にとって、この1週間は惨たんたるものだったが、ラッド氏の辞任がそれをダメ押しした形だ。

 ラッド氏はテリーザ・メイ(Theresa May)前首相の下で閣僚を務めた穏健派で、ジョンソン氏の切望で現政権に入閣していた。

 しかし、ラッド氏は7日、EUとの協議や内政に関するジョンソン氏の姿勢をこれ以上支持できないと表明。自身のツイッター(Twitter)で、閣僚を辞任し、保守党を離党したと発表。さらに「善良で誠実な穏健派の保守党員たちが追放されたことを、傍観するわけにはいかない」と述べ、離脱延期法案をめぐる採決で造反して賛成票を投じた保守党議員21人を党から追放したジョンソン氏の決断を批判した。

 ラッド氏は辞表の中でも、混乱を招く「合意なき離脱」をジョンソン氏が主張すればEUとの交渉が有利になると一時は思っていたと明かした上で、「もはや、この内閣が合意ある離脱を目指しているとは信じられない」と述べ、ジョンソン氏の姿勢に憂慮を感じると語っている。(c)AFP / Dmitry ZAKS