【9月7日 CNS】「旅行は若者の特権ではない。高齢になっても世界を旅することはできますよ」。中国・西安(Xi'an)の阿晋さん(30)は、90歳の祖母と旅をしている。一緒に海を見て、貝殻を拾い、充実した時を過ごしているという。人生の重要な目標だったという「祖母と一緒にインド洋に行くこと」も達成した。

 阿さんは大の旅行好き。カメラを片手に、バックパッカーとして世界200以上の都市を訪ねた。その旅の途中、物思いにふけったりホームシックを感じたりする中、家族と一緒に旅行したいと考えるようになった。

 阿さんは大学卒業後に軍隊に入り、海南省(Hainan)に勤務した。両親が自分に会うため海南省に来ることを決めたとき、祖母も連れてくるように頼んだ。「おばあちゃんにいつもと違う風景を見せたい」。そこから、阿さんと祖母との旅が始まった。

「若者と一緒だとすべてのリズムが速くなりますが、お年寄りと一緒の場合、ゆっくりとなる。だから、旅の途中でゆっくりと景色を共有できるんです」。祖母との旅行で、普段の生活で気付かない小さなことがたくさん見えるようになり、家族の絆を強めることができたという。

 この数年間、阿さんは祖母と一緒に中国国内の数都市を巡った。そして数か月前、阿さんは祖母とインド洋を見ようと決めた。高齢のため団体ツアーに参加できないことから、自力で航空券やビザを手配し、健康診断もした。そして西安からマレーシア、スリランカ、モルディブを訪れ、2万キロ以上の旅を実現した。

 祖母からみれば、旅行は「簡単なこと」という。「孫と一緒に旅行する間、よく食べて、よく遊ぶだけ。着替えるのが面倒なぐらいで、南方から戻った時は半袖を着てたので、寒かったわ」と笑顔で話す。

 阿さんは「幸せな時間─おばあちゃんとの旅」という写真集を作った。いつか祖母が動けなくなった時、この本をめくるといい思い出がよみがえってくるのではないかと考えている。(c)CNS/JCM/AFPBB News