【9月7日 AFP】人工知能(AI)を使って改変された「ディープフェイク」と呼ばれる動画などのメディアを検知する技術の向上に向け、IT各社と大学研究機関が合同で行うコンテスト型プロジェクト「ディープフェイク検知チャレンジ(Deepfake Detection Challenge)」が5日、発表された。

 ディープフェイクは、人々が実際にはしていない言動をする動画をAIで生成する技術で、オンライン上の情報の信頼性に対する重大な脅威と目されている。

 プロジェクトには、米フェイスブック(Facebook)が1000万ドル(約11億円)を出資する他、マイクロソフト(Microsoft)、IT産業団体「パートナーシップ・オン・AI(Partnership on AI)」、マサチューセッツ工科大学(MIT)、コーネル大学(Cornell University)、オックスフォード大学(University of Oxford)、カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)、メリーランド大学(University of Maryland)、ニューヨーク州立大学オールバニ校(University at Albany, State University of New York)が参加する。

「ディープフェイク検知チャレンジ」は、パートナーシップ・オン・AIが立ち上げたAIとメディアの信頼性に関する委員会による初のプロジェクト。パートナーシップ・オン・AIはAIの有効利用促進を目的とした団体で、アップル(Apple)、アマゾン・ドットコム(Amazon.com)、IBMなどのIT企業や非政府組織の支援を受けている。

 フェイスブックによると、同社は共同研究用の資金とコンテストの賞金を提供する。コンテストには同社も参加するものの、賞金は受け取らないという。

 プロジェクトに参加するオックスフォード大学のフィリップ・トー(Philip Torr)教授は、こうした改変メディアを検知するための新たなツールが「緊急に必要とされている」と強調。「いんちきの陰謀論をつくり上げたり、政治的利益のために人々を操ったりするために改変され、インターネット上に投稿される偽情報は、民主主義に対する根本的な脅威であり、世界的に重要な問題となりつつある」と訴えた。(c)AFP