【9月5日 AFP】(更新、写真追加)カリブ海(Caribbean Sea)の島国バハマを5段階中最強の勢力「カテゴリー5」で直撃したハリケーン「ドリアン(Dorian)」による死者は4日、20人に増えた。デュアン・サンズ(Duane Sands)保健相の発言をバハマと米国のメディアが報じた。国連(UN)によると、北部のグランドバハマ(Grand Bahama)島とアバコ(Abaco)島で、ほぼ全人口に相当する7万人が「緊急援助」を必要としている。

 現地では4日から、米沿岸警備隊と英海軍の救助隊が活動を本格化させている。

 バハマの主要日刊紙ナッソー・ガーディアン(Nassau Guardian)によれば、サンズ保健相は地元ラジオに対し、「少なくともアバコ島とグランドバハマ島における人命の喪失の実態が、ようやく明らかになってきた」「両島でこれまでに確認された死者数は、20人に増えた」と述べた。その上で、「捜索救助活動と浸水家屋の調査は、まだ始まったばかりだという点に留意しなければならない」と付け加えた。

 国連のマーク・ローコック(Mark Lowcock)緊急援助調整官は、バハマのヒューバート・ミニス(Hubert Minnis)首相と協議後、グランドバハマ島で約5万人、アバコ島でも1万5000~2万人が、避難所と安全な飲み水、食料、医薬品を緊急に必要としていることを明らかにした。

 被災地では、バハマと米英の救助隊が活動を本格化。バハマ隊はジェットスキーやボートを使い、豪雨による浸水や暴風による損壊に見舞われた住宅から被災者を救助した。

 米沿岸警備隊と英海軍はヘリコプターを投入し、医療搬送や、空からの状況評価による救助活動の調整支援、損害を評価するための調査飛行に当たっている。

 国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は、グランドバハマ、アバコ両島で推定7万6000人の被災者への「大規模な緊急救援活動」を準備していると表明。赤十字のスティーブン・マックアンドルー(Stephen McAndrew)氏は「スピードが非常に重要だ」と述べた。

 米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、ドリアンは現在、5段階中3番目の「カテゴリー3」の勢力で、最大風速は51メートル。日本時間5日正午時点で、米サウスカロライナ州チャールストン(Charleston)の南方沖約170キロを北上している。(c)AFP/Cyril JULIEN