【9月4日 AFP】黒人男性と白人女性の結婚は「キリスト教の信仰」に反するとして、米南部ミシシッピ州の結婚式場のスタッフが式の開催を拒否する様子を撮影した動画が拡散し、この式場に非難が集まっている。

 黒人男性と白人女性のカップルはミシシッピ州の結婚式場「ブーンズ・キャンプ・イベントホール(Boone's Camp Event Hall)」と数日間コンタクトを取っていたが、式場側から会場を提供できないとのメールを受け取った。

 黒人男性の親族が直接式場に出向き、動画を撮りながら拒否した理由について尋ねると、スタッフの女性は率直に「私たちはゲイ同士と異人種間の結婚式は執り行わない」と述べ、理由について「私たちがキリスト教徒であるから、つまりキリスト教の信仰だ」と答えた。

 地元オンラインニュースサイト「ディープサウス・ボイス(Deep South Voice)」が1日に記事にしたことで、この件は注目を集めるようになった。

 この一件が明らかになった後、ブーンズ・キャンプ・イベントホールのフェイスブック(Facebook)ページは削除された。しかし削除前、女性スタッフは複数回にわたって投稿を繰り返し、自身が育ったミシシッピ州には「同じ人種と暮らす」という暗黙のルールが存在すると釈明していた。

 女性スタッフは異人種間の結婚に関する自身の考えを裏付ける文言を聖書で探したといい、「8月31日の夕方と夜、9月1日の大半を費やして調査し、さらに1日夜に牧師と話し合い、聖書に裏付けられ正しいと考えていたことに基づく私の判断は間違っていたという結論に達した」とも投稿していた。

 米最高裁は1967年、ラビング対バージニア州裁判(Loving v. Virginia)で、異人種間の結婚の禁止を違憲と判断。米国ではそれ以降、黒人と白人の結婚は合法となっている。

 一方で敬虔(けいけん)なキリスト教徒が多い「バイブル・ベルト(Bible Belt、聖書地帯)」に位置するミシシッピ州では2016年、同性婚やトランスジェンダー(性別越境者)に関し、自身の宗教的信仰に基づいて事業者がサービス提供を拒否することを認める「宗教の自由」法が可決されている。(c)AFP