【9月9日 AFP】金目の廃棄物を拾い集めて子どもたちの学費を捻出したと、クマンさん(52)は日焼けした顔に笑みを浮かべて話した。クマンさんの住むインドネシア・バングン(Bangun)では廃品集めが盛んで、住民の多くはその恩恵を受けている。

 各国が使い捨てのプラスチックごみ問題に取り組む中、バングンの人々にとってごみは現金に等しい。住民の約3分の2は廃棄されたペットボトル、プラスチックの包装やコップを拾って選別し、地元企業に売ることで何とか生計を立てている。

 クマンさんはAFPの取材に「3人の子どもがいる…全員が大学に行った」と、くるぶしまでごみに埋もれながら誇らしげに語った。「私が一生懸命ごみを拾い集めたおかげだ」

 バングンは、インドネシアで最も人口が多い島ジャワ(Java)に位置する貧困地区の一つ。住民たちは、米国、英国、ベルギー、中東などから送られてくる廃棄物から再利用できるものを拾い集めて売ることで生計を立てている。

 リサイクルごみの最大輸入国だった中国が今年、輸入禁止に踏み切ったことで、世界中のリサイクルごみ業者が混乱に陥り、大量の廃棄物が今度は東南アジアに送られるようになった。バングンでもそれ以来、ごみの量が増えている。

 国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)によるとインドネシアのプラスチックごみの輸入量はここ数年で急増しており、2017年後半は月1万トンだったものが、2018年後半には同3万5000トンにまで拡大。グリーンピースは、プラスチックごみの増加は環境と健康に甚大な被害をもたらすと警告している。