【9月3日 AFP】(更新)米カリフォルニア州の沖合で2日未明、39人が乗っていた民間のスキューバダイビング船が炎上・沈没し、これまでに8人が死亡し、26人が行方不明となっている。米沿岸警備隊(US Coast Guard)が明らかにした。不明者の多くが死亡した恐れがある。

 沈没したのは、サンタクルーズ(Santa Cruz)島周辺のダイビングツアーに出ていた「コンセプション(Conception)号」(全長23メートル)。沿岸警備隊によると、消防隊のヘリコプターと小型船や、沿岸警備隊の小艇が数時間にわたり懸命の消火活動を続けたが、炎と高熱により船内での生存者捜索ができないまま、船は沈没した。濃い霧も救助活動を妨げた。

 沿岸警備隊のモニカ・ロチェスター(Monica Rochester)大佐は記者団に対し、現地時間2日午前3時15分(日本時間同日午後7時15分)ごろの出火時に起床していた船の乗組員5人は海に飛び込み、レジャー用フィッシングボート「グレートエスケープ(Grape Escape)号」にいた人々により救助されたと述べた。

 その後、サンタバーバラ(Santa Barbara)郡のビル・ブラウン(Bill Brown)保安官は記者会見で、これまでに4人の遺体を収容し、さらに沈没した船のすぐ近くの海底で4人の遺体が見つかったが、26人が行方不明になっていると述べた。

 近くの入り江に停泊していたグレートエスケープ号に夫のボブさんと一緒にいたシャーリー・ハンセン(Shirley Hansen)さんは現地紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)に対し、寝ていると船の側面をたたく音が聞こえたと語った。見るとコンセプション号の乗組員らで、2人は脚を負傷していた。下着姿の乗組員もいた。

 ハンセンさんによると、乗組員らはコンセプション号から約200メートル離れたハンセンさんらの船まで、ボートを漕いでたどり着いた。全員、取り乱した様子で、一人は交際相手の女性がコンセプション号の船室に残っていると言った。乗組員のうち2人は生存者を探しにボートで事故現場に戻ったが、一人も見つけることができなかったという。

 沿岸警備隊のロチェスター大佐によると、コンセプション号の乗客らは出火当時、全員眠っていたとみられる。米メディアが公開した音声によると、乗組員の一人は遭難通信で、「メーデー!メーデー!メーデー!」「息ができない!」と叫んでいた。沿岸警備隊の通信員はこの乗組員に対し、乗客らの脱出の可能性や消火器の有無を尋ねたが、返答は聞き取れなかったという。

 コンセプション号は、サンタバーバラに拠点を置く企業トゥルース・アクアティクス(Truth Aquatics)が1981年に就航させた。ロチェスター大佐によれば、船は安全規制に「完全に準拠」しており、船の所有者は調査に協力している。(c)AFP/Sébastien VUAGNAT / with Laurent Banguet in Los Angeles