【9月2日 AFP】香港で1日、数千人規模のデモ隊が空港に通じる道路を封鎖し、空港のウェブサイトによると少なくとも16便が欠航になった。空港の出発ロビーは足止めされた旅行客であふれかえった。

 黒い服を着て監視カメラから逃れるように傘をさしたデモ隊が、市街地と空港を結ぶバスのターミナルにバリケードを築いた。また、空港と市街地を結ぶ香港エアポートエクスプレス(Hong Kong Airport Express)は、駅が包囲された状態になり、運行を一時見合わせる措置を取った。

「逃亡犯条例」改正案への反発が発端となり、反政府運動に拡大したデモは、始まってからの3か月で次第に過激化している。空港ターミナルの外では、デモ隊が消火器を噴射させ、手荷物用のカートで道路に一時的なバリケードを築いたうえ、監視カメラを破壊するなどの行為に及び、警察に強制排除された。

 8月に同空港がデモの影響で閉鎖され暴力的な衝突が発生したことを受け、裁判所はデモ参加者の空港施設への立ち入りを禁止する命令を出した。しかしデモ隊は頻繁に命令を無視し抗議行動を続けている。

 8月31日にはデモ隊と警察の間で、この3か月間の抗議行動の中でも特に激しい衝突が発生した。デモ隊の一部の強硬派は政府庁舎周辺や警察署付近で火炎瓶を投げた。これに対し警察は警棒や催涙ガス、着色した水を放出する放水銃などを使ってデモ隊を押し返し、地下鉄の駅構内で大勢のデモ参加者を逮捕した。

 地元メディアの映像によると、警察官が地下鉄の車両の中でうずくまる人々に催涙スプレーを噴射し、友人女性をかばおうとして催涙スプレーを浴びた男性が痛みに叫んでいる姿が捉えられていた。

 ある駅では40人が警察に逮捕された。衝突で負傷して病院で治療を受けた人は31人前後に上り、うち5人は重傷だという。ソーシャルメディア上では警察の暴力的な手法に対する批判が高まっている。

 警察側は暴力的な一部のデモ参加者が警察官から拳銃を奪おうとしたため、警告する目的で空に向けて2回発砲したと明らかにした。警察は「暴力が悪化し、デモ隊が使用する武器が次第に危険度を増していることから、警官や市民の安全が深刻に脅かされている」と表明した。

 映像前半は空港でバリケードを築くデモ参加者。後半は地下鉄の駅での混乱。1日撮影。(c)AFP/Jacques CLEMENT / Yan ZHAO