【9月1日 AFP】米政府はグリニッジ標準時(GMT)の1日午前4時1分(日本時間同日午後1時1分)、中国からの輸入品に対して新たな制裁関税を発動した。米国や世界の経済成長が一段と鈍化する可能性が懸念される中、米政府は中国政府に新たな貿易協定への調印を迫るため、高圧的な働き掛けを強めた。

 米通商代表部(USTR)によると、これまで制裁関税の対象外だった3000億ドル(約32兆円)相当の中国製品の一部に対して、15%の追加関税が課された。当局のリストによると対象品目は、食品(ケチャップ、精肉、豚肉ソーセージ、青果類、牛乳、チーズ)からスポーツ用具(ゴルフクラブ、サーフボード、自転車)、楽器、スポーツウエア、家具と幅広い。

 米首都ワシントンを拠点とするピーターソン国際経済研究所(Peterson Institute for International Economics)のエコノミストによると、1日に発動した制裁対象は3000億ドル分のうち推計1120億ドル(約12兆円)分という。

 米国は、2018年のデータで中国の対米輸出5400億ドル(約57兆円)分のうち、昨年から2500億ドル(約27兆円)超相当に制裁関税を発動している。

 さらにドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は8月、制裁関税の対象を中国からの輸入品のほぼ全てに拡大すると発表。これを受けて中国は、9月1日から段階的に計750億ドル(約8兆円)相当の米国製品に追加関税を課す報復措置を取るとした。

 米企業や業界団体は、新たな制裁関税が雇用を悪化させ、消費者に負担を与えるとして、発動の延期を要請していた。しかし来年の大統領選で再選を狙うトランプ氏は30日、不満を表明している企業自体にも責任はあると主張。ツイッター(Twitter)に「経営がまずく弱体化している企業は、小ざかしくも経営責任を自身に問わず、ささいな関税のせいにしている。言い訳だ!」などと投稿した。(c)AFP/Delphine TOUITOU