【9月1日 AFP】将来を期待されていたフランス出身のレーシングドライバー、アントワーヌ・ユベール(Anthoine Hubert)が、31日に行われたフォーミュラ2(F2、FIA F2選手権)第9戦ベルギーで発生した恐ろしい高速クラッシュによって命を落とした。22歳だった。

 ユベールとジュリアーノ・アレジ(Giuliano Alesi)、ファン・マヌエル・コレア(Juan Manuel Correa)の3人が絡んだ事故は、会場であるスパ・フランコルシャン(Spa-Francorchamps)の高速コーナー「ラディオン」の出口で起きた。

 ユベールのマシンはコーナーの壁にぶつかってはね返り、コレアのマシンと猛スピードで激突した。ユベールのマシンは真っ二つになり、ひっくり返ったコレアのマシンはノーズが吹き飛び、コックピットに閉じ込められた選手の足がむき出しになるほどのすさまじい衝撃だった。

 その後、2人はリエージュ(Liege)市内の病院へ運び込まれたが、ユベールは31日午後6時35分に死亡したことが国際自動車連盟(FIA)から発表された。コレアは「状態は安定している」が脚を骨折しているという。

 ユベールはフォーミュラワン(F1、F1世界選手権)チームのルノー(Renault)のアカデミー所属で、本物の才能の持ち主と考えられていた。GP3シリーズ(GP3 Series)で年間チャンピオンに輝くなど、下部カテゴリーでの実績が評価され、将来に大きな期待を寄せるルノーからの全面支援を獲得。今季はBWTアーデン(BWT Arden)からF2に参戦し、第4戦モナコと第5戦フランスで勝利を挙げていた。

 ユベールの死に、モータースポーツ界からは次々に哀悼の言葉が寄せられている。

「大きな衝撃を受けている」と話すF1は「彼のことを決して忘れない」とコメント。F1で5回の年間タイトルを獲得しているメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は、インスタグラム(Instagram)でユベールを「ヒーロー」とたたえ、「悲劇だ。アントワーヌの魂に神の安らぎがあらんことを。僕の祈りと思いは、きょうの君とその家族と共にある」と書き込んだ。

 レッドブル(Red Bull)のマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)は、ツイッター(Twitter)に「アントワーヌ・ユベールの悲劇的な事故にとてもショックを受けている。ひどいことだ。思いは彼と家族、友人、チーム、愛する人々と共に」と投稿した。(c)AFP