【8月30日 AFP】北朝鮮の国会に当たる最高人民会議は29日、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の権限を強化する憲法改正を行った。正恩氏を、祖父の故金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)国家主席に近い地位へ引き上げる動きだと、専門家らは分析している。
 
 2011年末に父親の金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-il)総書記が死去して権力を世襲した際、正恩氏は30歳に満たなかったが、自身の権限を強固に確立。強権支配を進め、これまで6回実施された核実験のうち4回を監督した他、叔父を反逆罪で処刑した。

 正恩氏は、与党・朝鮮労働党の委員長と、国家最高指導機関である国務委員会の委員長に就任しているが、1994年に死去した祖父の金日成氏が依然国家主席の地位にある。

 最高人民会議は29日、一連の憲法改正案を承認。ただ正恩氏は出席しなかった。今回の憲法改正について崔竜海(チェ・リョンヘ、Choe Ryong Hae)最高人民会議常任委員長は、正恩氏による「唯一領導」を徹底するものだと述べた。

 国営朝鮮中央通信(KCNA)が崔氏の発言として報じたところによると、新条項では国務委員長を、「全国民の総意と希望を受け、名実共に党、国家、軍の最高指導者」と位置付けている。

 韓国ソウルにあるシンクタンク「世宗研究所(Sejong Institute)」の南北関係専門家、張成昌(Cheong Seong-Chang)氏は今回の憲法改正について、「国務全般において正恩氏の単独支配をさらに確固たるものにした」とコメント。

 30日にAFPの取材に応じた張氏は、「新憲法下では、国務委員長としての正恩氏の任務と権限が、生前の金日成国家主席のそれに一層近づいた」と語った。(c)AFP