【9月5日 東方新報】クローン技術の発展で、クローンペット産業はすでに中国で一つの新興市場として注目を浴びている。研究価値以外に、飼い主のペットに対する思いを満足させたり、特殊な才能ある職業動物を増産できたりするという点で、潜在的な市場の需要は大きい。

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 中国初の商業目的のクローン猫「大蒜(Da Suan)」が、生後1か月の誕生日を前にした8月19日にメディアに公開された。

 大蒜は7月21日に誕生。飼い主の黄雨(Huang Yu)さんは、愛猫のクローン猫を得るために25万元(約370万円)を支払った。大蒜は愛猫と9割方そっくりで、外見や毛色に若干の差異があるという。大蒜を生み出したクローン会社によれば「クローンは遺伝子上99.9%同じであることを保証します。しかし、毛色や模様は遺伝子の発現もランダムであり、人の力ではコントロールできません」という。

 8月22日には、中国初のクローン警察犬「昆勲(Kun Xun)」が公安部昆明(Kunming)警察犬基地での訓練を終え、無事正式に警察に配属された。昨年12月に、名警察犬として公安一級功勲犬に選ばれた「化煌馬(Hua Huang Ma)」の細胞から誕生。見た目はそっくりだったが、順調に訓練に合格したことで、頭脳や性格も名警察犬のDNAと同じであることが証明された格好だ。

 しかし、クローンペットの研究と生産に伴い、業界は深遠な問題と直面してくるだろう。すなわち生命現象と本質の問題だ。ある生命体の命が尽きたとき、復活は可能で、永遠に生きることができるのか。性格や挙動が遺伝子や神経メカニズムに制御されているというならば、クローンはその性格や挙動がクローン母体と似ているだろうか。

 黄雨さんは、クローン大蒜がもとの大蒜ほど賢いのか気になっている。今のところ外観はそっくりだが、将来成長するに伴って大蒜らしさが見いだされるか。昆勲は化煌馬ほど優秀な警察犬になれるのか。こうしたテーマは、時間の経過とともに観察によって明らかにされていくだろう。

 このように、クローンペット産業は飼い主らの願いを満足させると同時に、非常に得難い観察サンプルとなる。もしクローン動物に対する研究がさらに深まれば、心理学や哲学と生物学が交差する謎に答えが得られるかもしれない。(c)東方新報/AFPBB News