【8月31日 Xinhua News】中国上海市で開催中の第2回世界人工知能(AI)大会(WAIC2019)で29日、米電気自動車(EV)大手、テスラ(Tesla)最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク(Elon Musk)氏と、中国ネット大手のアリババグループ(Alibaba Group)董事局主席(会長)で国連事務総長により設置された「デジタル協力に関するハイレベルパネル」の共同議長を務める馬雲(ジャック・マー、Jack Ma)氏が、AIや火星生活などをめぐって対談した。両氏はAIテクノロジー発展の将来像と、それが未来の人類の生活に与える深く大きな影響について話し合った。

 マスク氏の「AIは愛を意味するのではないですか」というユーモアで対談は始まった。馬氏も「私もAIを人工知能と呼ぶのは好まず、アリババ知能と呼ぶのが好きです」とユーモアで応じた。

 マスク氏は「AIの能力を過小評価する向きも少なくない。AIをより賢い人間にすぎないと考える人もいるが、実際のAIの能力はその認識を大きく上回り、最も賢い人間よりも賢い」「AIに勝てないなら、AIとチームを組もう。われわれは、すでに携帯電話やコンピューターとつながっている。事実、人間はすでに機械と一体化しているのだ」と述べ、AI研究者が犯した最大の間違いは、機械は人間より賢くなりえないと考えたことだと指摘した。馬氏はこれについて、自身は非常に楽観しており、AIを脅威だとは捉えていないとの考えを示した。

 火星生活について話が及ぶと、馬氏は「あなた方は火星に移住したいようだが、私はそう思わない。私は地球に興味がある。なぜなら火星から戻ってきたばかりだからだ」と冗談を交えて述べ、火星に人間を送り込もうというマスク氏の勇気に敬意を表した。馬氏はまた「われわれは将来の問題全てを解決することはできない。しかし、われわれには未来に対する責任がある。私は、AIがあれば世界がもっと素晴らしくなっていくと考えている」と述べた。マスク氏は、地球を守り、地球の未来をしっかりつかむ必要があるとの考えを示した。

 マスク氏は、テスラが上海市に建設中の新工場「ギガファクトリー」について「当社の中国チームは非常に良い仕事をしており、全世界がこの素晴らしい物語を目の当たりにしている。これまで、これほど速いプロジェクトの進展は見たことがない」と述べた。

 コンピューターと人類のどちらが賢いのかについて、馬氏とマスク氏の意見は食い違いを見せた。馬氏は、コンピューターは人間より賢いかもしれないが、人類には知恵があると指摘し「人類はコンピューターを発明した。私はコンピューターが人間を発明するのを見たことがない。人間は人間が得意なことをするべきだ」と述べた。マスク氏は、現在、AIの自由度向上という問題解決に取り組み続けており、将来的にはテクノロジーの発達と変化により、AIは人間の能力を超えるだろうとの見方を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News