【8月30日 AFP】日本政府がアフリカ諸国や国際機関と共催した第7回アフリカ開発会議(TICAD)は30日、共同宣言に当たる「横浜宣言」を採択し、閉幕した。宣言の中で安倍晋三(Shinzo Abe)首相とアフリカ諸国の首脳らは、中国の巨大経済圏構想「一帯一路(One Belt One Road)」を念頭に、持続的に債務返済が可能な投資の重要性を強調した。また、宣言には「質の高いインフラは持続可能な経済改革の基盤を成す」との表現も盛り込まれた。

 アフリカの50か国以上の首脳や国際機関の代表が集まって開催された今回のTICADの背景には、一帯一路の下でアフリカに巨額の投資を行う中国の存在がある。一帯一路をめぐっては、過剰な融資で貧しい国々を借金漬けにしているとの批判も上がっている。

 安倍首相は29日、アフリカの一部の国々が債務超過に陥っている現状を念頭に「相手国が借金漬けになっては、皆さまの進出を妨げる」と述べ、中国をけん制した。

 これを受け、中国外務省の耿爽(Geng Shuang)副報道局長は「まったく理不尽な臆測だ」と強く反論。また、「国際会議やアフリカへの支援の約束が足りないということはないが、重要なのは行動と実行だとアフリカの首脳たちが繰り返し述べていることは指摘されるべき」と述べた。

 中国がアフリカの開発基金に昨年600億ドル(約6兆3000億円)もの融資を行うと発表した一方、TICADで安倍首相は、日本が今後3年間でアフリカ30か国の財政当局者にリスク研修を実施すると発表するなど、投資の「質」に重点を置く形となった。

 また、会議では各国政府による融資よりも民間による投資に重きが置かれ、安倍首相は被支援国の政府や現地の人々と日本の事業を推し進めたいと述べ、アフリカ発展のための支援をさまざまな形で行っていくと約束した。(c)AFP