【8月30日 Xinhua News】中国四川省(Sichuan)カンゼ・チベット族自治州白玉県(Baiyu)でこのほど、専門家による地元のある歴史遺跡の現地調査が行われた結果、この遺跡が7世紀初めから9世紀中頃にかけて栄えた吐蕃(とばん)王国時代の摩崖(まがい)石刻であることが暫定的に確認された。これは現地で初めて発見された吐蕃王国時代の遺跡であり、唐蕃古道(とうばんこどう)の路網化に関する学界の見方を裏付ける証拠になるかもしれない。

 この遺跡は同県の登竜郷(Denglong)邦邦村(Bangbang)に位置する。故宮博物院の蔵伝(チベット伝来)仏教文物研究所所長の羅文華(Luo Wenhua)氏によると、「邦邦石刻造像」は、チベット自治区昌都(チャムド)市、青海省(Qinghai)玉樹チベット族自治州、四川省カンゼ・チベット族自治州石渠県で見つかった「吐蕃石刻造像」と非常に似ており、1仏4菩薩の5尊の造像で構成されているという。

 羅氏は、中国の歴史で有名な唐蕃古道は、唐王朝と吐蕃王国、現在のネパール、インドなどを結ぶ重要な街道だが、かつて考えられていたような1本の幹線道路ではないと指摘。学界は現在、同古道が実際には幹線道路と支線道路で構成される唐王朝と吐蕃王国をつなぐ路網だったとの見方に傾いていると説明した。羅氏はまた「われわれは今回の発見に基づいて、古代に唐蕃古道の1支線道路が白玉県を通っていたと推測している」と述べた。

 羅氏はさらに「唐蕃古道が白玉県を通っていたか否かについては、さらなる考証が待たれる。しかし、今回の発見は、われわれが吐蕃王国時代の摩崖石刻の分布について改めて考える上で、重要な考古学的意義を持つ」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News