【8月29日 AFP】19-20フランス・リーグ1は28日、第3節の試合が行われ、オリンピック・マルセイユ(Olympique de Marseille)はニース(OGC Nice)とのダービーマッチを2-1で制し、アンドレ・ビラス・ボアス(Andre Villas-Boas)監督の下で初勝利を収めた。

 しかしこの試合では、ニースの過激派サポーターが同性愛者を侮蔑するチャントを歌ったため、前半が一時中断となった。

 ダリオ・ベネデット(Dario Benedetto)の初ゴールで先制したマルセイユは、ウィラン・シプリアン(Wylan Cyprien)に得点を許し同点にされるも、73分にはディミトリ・パイェ(Dimitri Payet)がPKで勝ち越し弾をマーク。3試合を終えて勝ち点を4とし、順位を13位に上げた。

 パイェに勝ち越し弾を許して開幕から続いていたニースの連勝は2試合でストップとなったが、この一戦でより注目を集めたのは、ホームサポーターによる侮蔑的なチャントを止めるため、審判の判断で10分以上にわたって試合が中断されたことだった。

「マルセイユはクィアの集団」「リーグ1よ、消えろ」といったチャントをやめるようニースファンに繰り返し要請が行われたが、28分には両チームの選手がピッチを後にした。

 二つ目のチャントは、リーグ側がスタンドでの同性愛嫌悪のチャントを排除しようとしたことに端を発するもので、選手がピッチに戻ろうとする際も続いた。

 さらにニースファンは同性愛者を侮蔑する内容が書かれた横断幕を広げ、中にはマルセイユを「LGBT(性的少数者)のクラブ」と称したものもあった。

 マルセイユのビラス・ボアス監督は、この一戦を担当したクレマン・トゥルパン(Clement Turpin)主審は「試合を中断するという適切な選択をした」と述べ、こうした侮蔑は「とりわけ社会の問題だ」と続けた。また、ニースのパトリック・ビエラ(Patrick Vieira)監督も同主審について、試合の進行を「中断したのは完全に正しい」と話した。

 仏のマルレーヌ・シアッパ(Marlene Schiappa)女男平等・差別対策担当大臣も、ツイッター(Twitter)でトゥルパン主審の「サッカーに対する敬意」を喜び、「観客席を汚した、同性愛者を侮蔑する横断幕」を非難した。

 しかし、同点弾を挙げたニースのシプリアンは、「たとえばか者が何かやらかしても、どんなときだって試合を止めてはならない。そうでなければ、われわれは決してプレーできないだろう」と話し、トゥルパン主審の判断を嘆いた。

 シプリアンは仏テレビ局カナル・プリュス(Canal Plus)に「ゲイに反対するチャントであれ、人種差別的なチャントであれ、あらゆる差別に反対する」「しかし、ゲイコミュニティーと一切関係のない侮蔑的チャントが起きても、すぐには試合を止められない」とコメントした。(c)AFP/Terence DALEY