【8月28日 AFP】五輪で3個の金メダルを獲得している競泳男子の孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)が、ドーピング検査を妨害した疑惑について、臆測が広がっていることを「受け入れられない」と話した。疑惑をめぐっては、スポーツ仲裁裁判所(CAS)での審理が予定されている。

 孫楊は、2018年に行われた抜き打ち検査で、血液サンプルを金づちで破壊するなどした疑いが持たれており、キャリアの先行きが不透明になっている。国際水泳連盟(FINA)は、訪れた検査員の資格や検査手順に問題があったという孫楊の主張を認め、具体的な処分は科さなかったが、世界反ドーピング機関(WADA)はこの判断に対する異議をCASに申し立てている。

 その中で孫楊は、中国版ツイッター(Twitter)の「微博(ウェイボー、Weibo)」に「世の中に間違った論調が広まり、事実がゆがめられている」「そのせいで自分の練習や私生活に多大な悪影響が出て、受け入れられない状況になっている」と書き込んだ。

 中国国内では英雄視される孫楊だが、物議を醸す選手としても知られ、他選手からは「薬物違反者」と呼ばれたこともある。疑惑の中で臨んだ7月の世界水泳(18th FINA World Championships)では、金メダル2個を獲得する一方で、他選手からの激しい反発に遭った。

 孫楊はCASの審理について、自らの口で説明する機会が訪れるのが楽しみだと話し、「言えないこと、真実を公にはできない事情というのがある」「しかしありがたいことに、監視カメラに全てが記録されていた。そうでなければ、たとえ無責任な批判であっても、釈明するのは難しかっただろう」とも書き込んでいる。

 審理は当初9月に予定されていたが、事情により延期となったことがCASから発表されている。(c)AFP