■「地球の肺」?

 アマゾン盆地はブラジルをはじめペルー、エクアドル、コロンビア、ベネズエラ、ガイアナ、スリナム、さらにフランス領ギアナの8か国にまたがっている。

 森林は炭素を捕獲し貯蔵するのに加え、風速や降雨パターン、大気中の化学成分の構成などに影響を与える。

 アマゾンはよく「地球の肺」と呼ばれ、世界の酸素の大きな部分を産出しているといわれるが、これは正確ではない。

 環境科学者で「プロジェクト・ドローダウン(Project Drawdown)」のエグゼクティブ・ディレクターのジョナサン・フォーリー(Jonathan Foley)氏は、「昨今のアマゾンの森林破壊の急速な拡大に対して、懸念する理由が数多くある。炭素、気候、水、生物多様性、そして人間だ」と指摘。同時に「だが酸素は、ありがたいことに懸念すべき問題ではない」と語っている。

■火災の季節

 ブラジル南東部全域で発生した膨大な数の火災を受け、各国首脳は緊急対応に乗り出している。だが実際には、過去数十年にわたり毎年この時期に火災が起きるのは珍しいことではない。

 ブラジルでは、今年これまでに発生した火災は約15万件で、2016年と比べて少ない。2002年から2010年までの間には、8月の火災件数が20万を超えた年は5回あった。「火災の季節」のピークは9月で、発生件数はさらに増加する。

 米メリーランド大学(University of Maryland)の研究施設グローバル・フォレスト・ウオッチ(Global Forest Watch)のミカエラ・バイセ(Mikaela Weisse)とサラ・ルイス(Sarah Ruiz)の両氏は今週、ブログに「アマゾンの火災の多くは、以前に森林が伐採された土地で発生しているようだ」と投稿している。

 アマゾンはまた、地球の生物多様性が広範囲にわたり最も集中した地であり、そこには伝統的また現代的な医薬に用いられている数百種の植物が生育している。(c)AFP