【8月28日 AFP】ロシアで27日、中国の水族館への輸出目的で捕獲され、「イルカ監獄」と呼ばれた狭いいけすに約1年も閉じ込められていたシャチの最後のグループが海に戻され、環境保護団体は「大きな勝利」だと評価した。

 しかしシロイルカ(ベルーガ)75頭がいまだにロシア極東の「イルカ監獄」に閉じ込められており、活動家らはロシア当局に残りのシロイルカの解放計画を公表するよう求めている。

 全ロシア漁業海洋学研究所(VNIRO)は6月以降、計10頭のシャチと87頭のシロイルカのうち12頭を、トラックと船を使って1800キロの距離を移動させて海に放した。

 VNIROは27日、捕獲されていたシャチの最後の2頭と、シロイルカ6頭を自然環境に戻したと発表。「スレドニャヤ湾(Srednyaya Bay)の施設に閉じ込められていた10頭のシャチは全て解放された」と明らかにした。

 これに先立ちVNIROは、シロイルカはシャチよりも回復力が高く、寒い季節に海に放すことが可能なため、夏の間にシャチを放つことを優先したと説明していた。

 シャチやシロイルカは幾つかのグループに分けて解放されており、27日は4回目だった。最初の頃の解放作業は環境保護団体と海洋哺乳類専門家から批判を受けたが、国際環境NGOグリーンピース(Greenpeace)は27日の作業について、より多くの情報が公表されたと述べ、残るシロイルカの解放計画を公表するよう求めた。

■「イルカ監獄」は存続?

 活動家らは、漁業関係者が来年野生のシロイルカを捕獲する許可を申請していることに懸念を持っている。グリーンピースのオガネス・タルグーリャン(Oganes Targulyan)氏は、「教育・娯楽目的での野生のクジラやイルカの捕獲が禁止されなければ、1~2年後には『イルカ監獄』の状況が繰り返されるかもしれない」と述べた。(c)AFP