【9月2日 CNS】中国・甘粛省(Gansu)敦煌市(Dunhuang)の景勝地「月牙泉(Yueyaquan)」は、地下水脈が枯渇し「消滅の危機」にあったが、この2年来、水域面積は徐々に安定した状態に戻りつつある。細かった三日月の形が、太く豊かな姿へと変わってきている。

「砂漠の第一の泉」といわれる「月牙泉」は、敦煌市西南の郊外5キロに位置し、古くから「鳴沙山(Mingshashan)」と合わせ、「砂漠の中に現れた泉」の奇観は世にあまねく知られるようになり、漢の時代から「敦煌八景」の一つと称されてきた。

 史的文献によると、20世紀初頭にここで魚釣りをした旅行者が「湖水の水深は極めて深く、深さは計り知れない」と記している。1960年代の記録には、湖水面積は約1万5000平方メートル、深さ9メートルとある。

 1970年代になると、ダム建設と農業用かんがい面積の増加の影響を受け、水流が途絶えるようになり、これに加えて地下水の大量吸い上げにより、月牙泉の水位は大幅に下がっていった。1990年代末に入ると、水脈が減少を続けた月牙泉はとうとう泉の底が干上がり、人がその上を歩けるようになった。

■生態回復工事の効果が現れ「消滅の危機」を脱する

 敦煌の生態環境を保護するため、2011年に総投資8100万元(約12億円)の月牙泉水源回復工事が決定し、17年10月に完工。施工現場は月牙泉から約10キロ、高低差約40メートルの敦煌の「母の川」と呼ばれる「党河(Dang River)」の中にあり、5.88キロの長さの中間隔離堤防を築くことにより河床を洪水時の高水敷(こうすいしき)と地下に河水を浸透させる浸透場の2区域に分けた。さらに、浸透場の中に高さの異なる11の堤防を築き、面積100ヘクタールの12の浸透池をつくり上げた。これにより、年間270日の長期蓄水を可能とし、地下水量を拡大した。

 データによると、この2年間の蓄水を通し、月牙泉の水位は安定して上昇しており、補水効果は顕著だ。月牙泉の右岸には樹木が栽植され、河水の浸透場は青々とした植物に覆われ、敦煌市により旅行開発用の湿地公園として指定を受けている。(c)CNS/JCM/AFPBB News