【8月27日 AFP】米フロリダ水族館(The Florida Aquarium)の環境保護センターは26日、人工的な環境下で大西洋に生息するサンゴを繁殖させることに初めて成功したと発表した。「米国のグレートバリアリーフ」とも呼ばれるフロリダ沖のサンゴ礁をめぐってはその保護が急務となっており、繁殖成功は励みの一歩となりそうだ。

 環境保護センターの研究チームは、絶滅が危惧されているピラーコーラルというサンゴを人為的に産卵させ、繁殖させることに成功した。この方法を用いれば、最終的にフロリダ沖のサンゴ礁の死滅を阻止できる可能性もあるという。

 フロリダ水族館の環境保護部門主任アンバー・ウィトル(Amber Whittle)氏はAFPの取材に対し、温室内の研究設備で研究チームは1年がかりでサンゴを産卵させたと明らかにし、繁殖成功について「素晴らしい飛躍的前進」と強調した。

 ウィトル氏によると、太平洋に生息するサンゴの繁殖については英ロンドンのホーニマン博物館(Horniman Museum)がすでに成功しているが、大西洋に生息するサンゴの繁殖は初めてで、今回繁殖に成功したピラーコーラルは絶滅が非常に危惧されている種類だという。

 フロリダ水族館とホーニマン博物館は2015年、人工繁殖技術に関する共同研究を開始。研究設備ではサンゴが生息する自然環境をまねた日の出や日の入り、月の満ち欠け、水温や水質が再現され、繁殖が実現した。

 フロリダのサンゴは気候変動や病気により急速に劣化しており、研究チームはこの技術を通して健康なサンゴを増やし、サンゴ礁の拡大につなげたい考えだ。(c)AFP