【8月26日 AFP】イラク軍の傘下でイラク西部アルカイム(Al-Qaim)周辺の治安維持に当たっている民兵組織「人民動員隊(Hashed al-Shaabi)」は25日、イスラエルのドローン攻撃で戦闘員1人が死亡、1人が重傷を負ったと発表した。このところ相次ぐドローン攻撃をめぐって、人民動員隊がイスラエルを名指しで非難するのはこれが初めて。

 人民動員隊によると、ドローン攻撃を受けたのはシリアとの国境から約15キロ離れたイラク・アルカイム付近を拠点としていた部隊。「イラクを標的としたシオニスト(ユダヤ主義者)の攻撃が相次ぐ中、邪悪なイスラエルのカラスどもが人民動員隊を狙って舞い戻ってきた」と人民動員隊は声明で断定し、2機のドローンがイラク領内に侵入したと非難した。

 イラク国内の人民動員隊の複数の拠点では、7月中旬ごろから不可解な爆発やドローンの目撃が頻発しており、イラン、米、イスラエルの3か国間の代理戦争がイラク国内・領空内で起きているのではないかとの懸念を呼んでいる。

 人民動員隊は、ISと戦うため異なる武装集団や志願者らが集まって2014年に結成された組織で、構成員の多くはイスラム教シーア派(Shiite)。イランから軍事訓練を受けたものの、正式にイラク軍傘下の軍事部隊として運用されている。

 今回攻撃を受けた旅団は、米国で「テロ組織」に指定されているイラクの武装組織「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ、Hezbollah Brigades)」の戦闘員らで構成された部隊の一つ。同組織は先週、一連の攻撃について米国に「最後通告」を突き付け、「今後、イラクの拠点を狙った新たな攻撃を仕掛けるなら、痛烈かつ断固たる報復で応える」と警告している。(c)AFP / Maya Gebeily