【8月25日 AFP】「逃亡犯条例」改正案に端を発した混乱が続く香港(Hong Kong)で24日、九龍(Kowloon)地区の観塘(Kwun Tong)でデモ隊と警官隊の衝突が発生した。警官側は催涙ガスや警棒で排除を試み、デモ隊側も投石や竹ざおなどで抵抗。このところ平静さを見せていたデモをめぐり、再び緊張が高まっている。

 
 デモ隊の空港占拠によって、国際金融都市である香港の空港が一時機能不全に陥ったのが約1週間半前。この時の衝突を最後に、警官隊とデモ隊との激しい衝突は起きておらず、香港の急速な情勢悪化には歯止めがかかったとみられていた。

 しかし、不穏さが漂う中での平穏も24日に破られた。観塘を行進していた数千人規模のデモ隊が警察署前まで来たところ、盾や警棒で武装した警官隊に行く手を阻まれ、前方のデモ参加者たちが、道路障壁や建設現場の足場用の竹ざおでバリケードを築いた。デモ隊の多くはヘルメットやガスマスクを着用している。

 にらみ合いが続く中、一部のデモ参加者がスリングショット(投石器)で警官隊に向けて石を発射。これを機に、警官隊が警棒と催涙スプレーでデモ隊の強制排除を開始した。道路には催涙ガスが充満。デモ隊が撤退した後にはガラス瓶の破片が散乱し、警察署の壁にはデモ隊によって侮辱的な言葉がスプレー書きされていた。また、少なくとも1か所で火災が発生した。

 この衝突で、複数のデモ参加者が警官隊に身柄を拘束された。警察は「暴力的抗議者たちの大規模集団」が放火やブロックを投げつけるなどの行為に及んだとして、デモ隊への対応は正当だったと主張している。

 一国二制度により高度な自治を保証されている香港で、中国本土への容疑者引き渡しを可能とする「逃亡犯条例」改正案への抗議活動としての街頭デモが、約3か月前に始まった。現在、デモの内容は民主化や警察の暴力責任追及などへと広がっている。(c)AFP/Richard SARGENT/Yan ZHAO