【8月25日 AFP】先進7か国(G7)首脳会議(サミット)の開催地となったフランス南西部ビアリッツ(Biarritz)周辺で24日、サミットに反対する複数のデモが行われた。警察はデモ隊の排除に催涙ガスや放水銃を使用した。

 フランス南西部には19日から反資本主義運動や環境保護の活動家らのグループが集まっていたが、主催者はあくまで平和的なデモになると話していた。

 しかし、ビアリッツから数キロしか離れていないバイヨンヌ(Bayonne)では、資本主義に反対するシュプレヒコールを叫びながらデモ行進した数百人が予定のルートを外れて市中心部に向かおうとしたため、大量に動員されていた警察官がバリケードを構築。突破しようとするデモ隊と1時間以上のにらみ合いとなったが、最終的に警察は催涙ガスと放水銃を使用してデモ隊を排除した。当局はこの騒ぎで拘束した人の数を明らかにしていない。

 ビアリッツから約30キロ離れた沿岸の街アンダイエ(Hendaye)では、警察発表で9000人が参加してバイヨンヌより大規模なデモ行進が行われた。主催者側は1万5000人が参加したとしている。こちらのデモ行進は平穏に行われ、参加者らは旗を振り、シュプレヒコールを上げながら、ビダソア(Bidassoa)川の橋を渡ってスペイン北部の街イルン(Irun)に向かった。

 環境活動家や家族連れ、反グローバリズムの活動家のほか、少数ながらエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領の政策に抗議する「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」運動の活動家やスペイン・バスク(Basque)地方の民族主義者の姿も見られた。

 ビアリッツから南に25キロ離れた村ユリューニュ(Urrugne)では23日夜から24日朝にかけて、キャンプを張っていた活動家らが警察と小競り合いになり、17人が拘束され、警察官4人がけがをした。現地で取材したAFP記者によると、警察は催涙ガスやゴム弾を発射した。

 人気観光地のビアリッツは、いつもなら夏の観光客でにぎわっている時期だが、過激な反資本主義グループやアナーキスト、黄色いベストの活動家による妨害を警戒し、警察官と憲兵1万3000人以上を動員する厳重な警戒態勢が取られている。

 トラブルに備えてフランス当局は、検事17人と弁護士70人を擁する特別治安判事法廷を設置したほか、300人分の勾留施設も用意した。(c)AFP/Benoit PETIT and Alice LEFEBVRE