【8月25日 AFP】欧州連合(EU)加盟のうちフランスなど6か国は23日、地中海で救助され洋上待機していた移民356人の受け入れに合意した。2週間にわたる交渉の行き詰まりで、アフリカの紛争と貧困を逃れてきた絶望のどん底にいる人々への迅速な対応に欧州の指導者らが失敗していることが改めて浮き彫りになった。

 地中海で移民・難民の救助などに取り組む仏NGO「SOSメディテラネ(SOS Mediterranee)」と、緊急医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」が共同運航するノルウェー船籍の移民救助船「オーシャン・バイキング号(Ocean Viking)」は8月9~12日、リビア沖で移民船4隻に乗っていた人たちを救助した。

 マルタは欧州委員会(European Commission)との協議の末、自国の海軍を使って移民をマルタに運ぶことに同意したが、移民の滞在は認めなかった。

 救助された移民はグリニッジ標準時(GMT)23日午後9時(日本時間24日午前6時)、海軍艦艇からマルタに上陸した。今後、フランス、ドイツ、アイルランド、ルクセンブルク、ポルトガル、ルーマニアに移されることになっている。

 SOSメディテラネとMSFは、全長69メートルのオーシャン・バイキング号の食料が尽きかけていると警鐘を鳴らしていた。このため合意が発表されると、移民とスタッフからは歓喜の声が上がった。

 SOSメディテラネによると、オーシャン・バイキング号は現在、乗組員の交代と燃料・物資の補給を行っており、終わり次第再びリビア沖に向かう。

 移民の救助活動に取り組む慈善団体は、数万人が地中海を渡る非常に危険な旅に臨む近年の移民問題への対応について、EU加盟諸国には協調と連携が欠けていると酷評してきた。

 映像は、マルタ海軍艦艇に乗り込む移民。MSFが23日に撮影、提供。(c)AFP/Anne Chaon with Ella Ide in Rome