【8月24日 AFP】中国の国営メディア各紙は22日、香港の民主派のデモ参加者らを支持したとして、地下鉄事業者の香港鉄路公司(MTR Corporation)を一斉に非難した。先週には、香港を拠点とするキャセイパシフィック航空(Cathay Pacific Airways)の一部従業員が香港での反政府デモを支持したとして中国政府と国営メディアから批判され、最高経営責任者(CEO)が引責辞任する事態が起きている。

 中国政府系メディアは、香港の地下鉄駅構内で7月に犯罪組織「三合会(Triad)」の構成員とみられる集団がデモ隊を襲撃して1か月がたったことを機に座り込みが行われた後、MTRがデモ参加者を無料で地下鉄に乗せ、警察を避けるために「専用」列車を運行するなどしてデモ隊を扇動したと非難している。

 中国の国営新華社(Xinhua)通信は、「MTRは、香港の暴力的なデモ隊のために専用列車を運行し、無料で乗車させている」と英語でツイッター(Twitter)に投稿。また、中国共産党機関紙、人民日報(People's Daily)系の環球時報(Global Times)は中国語の論説で、MTRは警察と協力するのではなく、デモ隊が「逃げる」のを手助けしたと指摘。MTRは「香港社会に対し、暴力行為に及んだ過激なデモ参加者は警察から逮捕されないどころか、無料の特別待遇まで受けられると周知している」と非難した。

 香港政府からの出資が大半を占めるMTRは22日、乗客や従業員の安全を確保するため、「警察が群衆を分散させる措置を取っていた」駅を飛ばして運行していたと述べる一方で、無人の列車は「駅をできるだけ早く離れたがっている」乗客を乗せるためのものだったとして、一部のデモ参加者らによる駅の破壊行為を非難した。

 今月16日、キャセイパシフィック航空は、一部従業員が香港での反政府デモを支持したとして中国政府から非難され、ルパート・ホッグ(Rupert Hogg)最高経営責任者(CEO)の電撃辞任を発表。同社は国営メディアからも糾弾されていた。(c)AFP