【8月23日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は23日、米国が中距離核戦力(INF)廃棄条約破棄後に、以前禁止対象だったミサイルの発射実験を実施したことを受け、「相応の対応」の準備に着手するよう軍に指示したと発表した。

 プーチン大統領は「米国の行為によって生み出されたわが国への脅威レベルの分析」と、「相応の対応を準備するための包括的な措置」を講じるよう指示したことを明らかにした。

 米国防総省は19日、地上発射型の中距離巡航ミサイルの発射実験の実施を発表。同ミサイルは、米国と旧ソ連が1987年に調印したINF廃棄条約下で禁止対象となっていたが、米ロは相手側が条約違反をしていると非難の応酬を繰り広げた末、今月初めに同条約は失効した。

 プーチン氏は政府の会合で、米国が18日に行った発射実験は、核弾頭の搭載が可能な巡航ミサイルのトマホーク(Tomahawk)をMK41というシステムを使って発射したもので、米国が禁止対象ミサイルの欧州配備を計画しているとの疑惑が証明されたと指摘。

 米側はこの発射システムについて、トマホーク用ではないと否定しているが、プーチン氏は「いまや米国が条約に違反したという事実は明白であり、否定しても無駄だ。問題は、ルーマニアとポーランドに配備されるミサイルが何なのかをいかにして知るかだ」と述べた。

 さらに、ロシアは自国経済を破壊しかねない巨額な軍備競争に引き込まれはしないとする一方で、「国民と国土の安全を確保する必要は生じる」という見方を示した。(c)AFP