【8月22日 時事通信社】韓国政府が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたのは、輸出管理強化で深刻化した対立を安全保障分野にも広げ、日本の攻勢に屈しない対抗姿勢を誇示する狙いがある。日米共に協定の維持を望んでいただけに、破棄表明は3カ国連携への深刻な打撃となる。北朝鮮や中国の軍事的脅威が高まる中、日韓の相互不信は底なしの状況で、北東アジアの安全保障環境は厳しさを増しそうだ。

 大統領府関係者は、日本が輸出管理上の優遇対象国からの韓国除外を決めたことについて「われわれを安保面の友好国と見なしておらず、安保協力の根幹を揺さぶる行為と認識した」と批判。徴用工問題などを挙げ、「日本は問題解決に向けたわれわれの外交努力を言下に拒否した」と不満を爆発させ、協定破棄の背景に不信が募っていたことを隠さず訴えた。

 GSOMIAが締結されたのは朴槿恵前政権時代の2016年11月。北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返し、ミサイルの追跡情報や北朝鮮軍の動向など、日韓当局間で互いに不足する部分を補う情報交換が行われていたとみられる。大統領府によれば、締結以降、情報提供は29回あったが、「最近は減少傾向だった」という。

 今後こうした情報交換に支障が出る可能性があるが、大統領府関係者は日米韓の情報交流を通じて「情報や監視の空白(が生じること)はあり得ない」と否定した。確かに、GSOMIAがなくても、日韓には米国を通じて情報を提供できる仕組みがあるものの、従来の情報共有体制を維持できるかは不透明だ。

 文在寅大統領は15日の演説で日本側に「対話と協力」を呼び掛けた。だが、21日に北京郊外で行われた日韓外相会談では「問題解決のための進展はなかった」(康京和外相)。日本政府は28日、輸出管理の優遇対象国から韓国を除外する政令を施行する予定で、韓国側も9月中に日本側を除外する措置を取る方針。対立解消の出口が見えぬまま、相互不信が募る一方だ。(c)時事通信社