【8月22日 時事通信社】ドイツのメルケル首相は、ジョンソン英首相が要求する欧州連合(EU)離脱案の修正に関して、条件次第では受け入れる可能性を示唆した。ただ、メルケル氏が提示した条件は、30日以内に英領北アイルランド国境問題を解決するという極めて厳しいもの。10月末の円滑なEU離脱は、ジョンソン氏が魔法のような解決策を見つけられるかに懸かっている。

 「2年以内に解決策が見つけられると言うなら、30日以内に見つけることもできるはずだ」。メルケル氏は21日、ベルリンでの記者会見で語り掛けた。隣にいたジョンソン氏は「私はとても満足だ」と喜びを爆発させた。

 現在の離脱案では、英離脱から2020年末までの移行期間中に、検問所や税関などの施設を設けずに英領北アイルランドとアイルランドの国境を管理する方法を見つけられなければ、英国がEUの関税同盟に残留する「バックストップ(安全網)」と呼ばれる代替策で対応する計画だ。ジョンソン氏はこのバックストップの削除を求めている。

 しかし、EU離脱の混乱の原因は、メイ前首相も英議会もこれまでずっとその解決策を見つけられなかったことにある。ジョンソン氏が「魔法のつえ」を見いだせる保証はどこにもなく、実現する可能性は低いとみられる。

 ジョンソン氏はEUが拒絶してきた離脱案の再交渉を一方的に要求。メルケル氏の側近は英紙に「まじめな提案とは思えない」と語り、「合意なき離脱」に至った場合の責任をEUになすり付けるためのパフォーマンスだと分析していた。メルケル氏は今回、ジョンソン氏の要求を逆手に取り、無理難題を突き付け返した格好だ。

 一方、フランスのマクロン大統領は21日、ロイター通信などの取材に、合意なき離脱は「いかなる時も英国が決めることだ」と突き放した。(c)時事通信社