【8月22日 AFP】バングラデシュで22日、同国に避難しているミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)を自国に帰還させるため、当局がバス5台とトラック10台を用意したものの誰一人集まらず、ロヒンギャの人々に帰還を改めて促そうとする取り組みは失敗に終わった。

 バングラデシュには、2017年のミャンマー軍による攻撃を逃れた74万人を含む、多くのロヒンギャが避難している。避難した人々は、安全の保証と、ミャンマーから市民権が与えられるとの約束がない限り、自国に戻ることを拒否している。

 ロヒンギャの指導者は「ミャンマー政府はわれわれをレイプし、殺した。だからわれわれには安全が必要だ。安全性がない限り絶対に帰らない」とのコメントを発表。

 バングラデシュ南東部に設けられ、約100万人のロヒンギャが身を寄せているキャンプの一つに暮らす男性は「市民権と安全、自分たちの元の土地が確約される必要がある」「だからわれわれは帰還する前に、ミャンマー政府と話し合わなければならない」と訴えた。

 帰還予定となっていた3450人のうち、最初の一団を移送するための車両が、同日午前9時(日本時間正午)にテクナフ(Teknaf)のキャンプに到着。しかしそれから6時間たっても誰一人姿を見せず、乗客がいないまま車両は出発。当局者によると、23日に再び戻ってくるという。

 バングラデシュ側の担当者は報道陣に対し、「295世帯に聞き取り調査を行ったが、帰還に関心を示した人はまだいない」と明かした。(c)AFP/Sam JAHAN