【8月21日 AFP】「スパイダーマン(Spider-Man)」映画の契約条件をめぐり、映像化権を持つソニー・ピクチャーズエンタテインメント(Sony Pictures Entertainment)と、マーベル・スタジオ(Marvel Studios)の親会社であるディズニー(Disney)との交渉が決裂し、マーベルのスーパーヒーローシリーズ「マーベル・シネマティック・ユニバース(Marvel Cinematic UniverseMCU)」に今後スパイダーマンが登場しなくなる可能性が生じている。米ハリウッド(Hollywood)の複数のメディアが20日伝えた。

 マーベル映画の作品群であるMCUは世界で計220億ドル(約2兆3400億円)の興行収入を記録し、映画史に残る高収益をたたき出している。特に数十年にわたってマーベルのコミック部門の「至宝」とされてきたスパイダーマンは、英俳優トム・ホランド(Tom Holland)が演じ、マーベル映画でも中心的な存在になっている。

 一方、スパイダーマンの映像化権はソニー・ピクチャーズエンタテインメントが保有している。そのため、MCUにスパイダーマンが登場し始めたのは、2015年にソニーとその競合相手のディズニーを親会社に持つマーベルが、共同製作と利益分配に関する前例のない契約を結んで以降のことだ。

 ただ複数のハリウッド系メディアはここへ来て、ソニーとディズニーが次回作以降の金銭的条件で合意に至らなかったことで、ソニーとマーベルの提携関係も解消されたと報じている。

 この件に関する第一報を伝えたハリウッド専門ニュースサイト「デッドライン(Deadline)」によると、次回以降のスパイダーマンが登場する映画の収益について、ディズニーが自社取り分の大幅な引き上げを要求したが、ソニー側は既存の契約内容の変更を拒否したという。

 デッドラインによると、マーベル・スタジオ社長のケビン・ファイギ(Kevin Feige)氏はこれ以降、ソニーのスパイダーマン単独映画の製作には携わらないという。

 芸能誌ハリウッド・リポーター(Hollywood Reporter)のグレアム・マクミラン(Graeme McMillan)記者によると、これは今後のマーベル映画にスパイダーマンが「ほぼ確実に」登場しなくなることを意味するという。

 マクミラン氏は、スパイダーマンがMCU最新作で「マーベル・シネマティック・ユニバースの顔」になったと指摘し、「結局、この件はソニーよりも、マーベルにとってより大きな問題だ」としている。

 スパイダーマンは、MCUの『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(Captain America: Civil War)』や最新作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(Spider-Man: Far From Home)』をはじめ、世界歴代最高興行収入を記録した『アベンジャーズ/エンドゲーム(Avengers: Endgame)』などに登場している。

 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、ディズニー両社は、今回の報道に関してともに公式コメントを出していない。(c)AFP