少子高齢化で進む世代間対立、シニアモデルが橋渡し役に 韓国
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【9月7日 AFP】チョ・スンファ(Choi Soon-hwa)さんは、70歳の時は生活のためだけに病院で1日20時間働いていた。だが、75歳となった今、ファッション界の花形モデルとして活躍している。
高齢化社会を迎え世代間の対立が高まる韓国で、チョさんはほんの一握りしかいない高齢者のソーシャルメディアの有名人、ファションセレブリティーの仲間入りをした。「この年でこんな仕事に就けるなんて奇跡だ」とチョさんは話す。
ここ5年で、世界的にファッションモデルの年齢の多様化が目立つようになった。ジャッキー・オショーネシー(Jacky O'Shaughnessy)さん、ジャン・ドビルヌーブ(Jan de Villeneuve)さん、イーロン・マスク(Elon Musk)氏の母メイ・マスク(Maye Musk)さんといった60~70代の女性たちが、ファッション界のスターとして活躍している。
韓国最高齢のプロファッションモデルであるチョさんは、ソウルファッションウィーク(Seoul Fashion Week)への出演経験もある。介護士として長時間労働を強いられていた数年前の生活とは大違いだ。当時は、週に7日働くことも多かったという。
韓国は高齢者の約45%が相対的貧困にあり、先進国の中で社会的セーフティーネットが最も脆弱(ぜいじゃく)な国の一つだ。
病院で働いていた時は、患者たちが「あまりにも年寄りに見える」人に世話されるのを嫌がったため、髪を染めなければならなかった。だが、独自性を重視する若手デザイナーたちにとって、チョさんの銀髪は貴重な個性となっている。
チョさんの夫はある日突然、チョさんと2人の子どもを残して家を出て行った。以後、フルタイムで働きながらどうにか家計を支えてきた。韓国ではシングルマザーに対して厳しい目が向けられることもある。「2人の子どもを一人で養っていた時には、同じ服を20年着ていた」と当時を振り返る。
チョさんがモデルになったきっかけは、テレビで偶然シニアモデルについてのコマーシャルを目にし、人生を変えるチャンスだと思ったことだった。