【8月21日 AFP】ドーピング検査を妨害した疑いが持たれている中国の競泳選手、孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)の、9月に予定されていたスポーツ仲裁裁判所(CAS)による審理が「個人的な事情」で延期されることになった。

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 孫楊は、2018年の抜き打ち検査で血液サンプルの容器を金づちで破壊した疑いが持たれているが、国際水泳連盟(FINA)は、検査員の資格や検査手順に問題があったという孫楊の主張を認め、具体的な処分は科さなかった。処分を逃れた孫は7月の世界水泳(18th FINA World Championships)に出場して金メダル2個を獲得したが、他選手からは激しい反発に遭った。

 このFINAの判断に対して、世界反ドーピング機関(WADA)はCASに異議を申し立てているが、CASが20日、「想定外の個人的な事情により、ある当事者から延期の要請があった」ため、暫定的に予定されていた9月の審理を遅らせると発表した。新たな日取りは、「10月末より前」になる可能性は低いという。

 またCASは、「当事者からの要請に従って」、異例ながら審理を公開状態で行うことも明かしている。

「公開審理は史上2回目」で、1999年の1回目も競泳選手に関するものだった。そのときは、アイルランドのミシェル・スミス(Michelle Smith De Bruin)氏がドーピング違反への異議を申し立てたが、スミス氏は、尿サンプルをアルコールで薄めていたというFINAの主張がCASに支持されたことで、申し立てが棄却された。(c)AFP