【8月21日 AFP】ロシアと中国は20日、米国が新たに行ったミサイル発射実験は軍事的緊張を高め、軍拡競争を引き起こす恐れがあると警告した。米国は数週間前、冷戦(Cold War)時代にロシアと締結した中距離核戦力(INF)廃棄条約を破棄したばかり。

 米国とロシアは今月、核・通常中距離兵器の使用を制限する1987年のINF廃棄条約を破棄した。両国は互いが同条約に違反していると非難。米政府はまた、中国など他の大国との取り決めを交わす上で、同条約が足かせとなっていたと主張していた。

 米国防総省は19日、INF廃棄条約で禁じられていたタイプの地上発射型ミサイルの発射実験実施を発表した。

 ロシアのセルゲイ・リャプコフ(Sergei Ryabkov)外務次官は国営タス通信(TASS)に対し「米国は明らかに、軍事的緊張を高める進路を取った。われわれは挑発には応じない」「犠牲の大きい軍拡競争には引き込まれない」と表明。今回の実験は、米国が条約を破棄する以前から長年にわたり同類のミサイル開発に取り組んでいたことを示したと述べた。

 中国外務省の耿爽(Geng Shuang)副報道局長は「米国によるこの措置は新たな軍拡競争を引き起こし、軍事対立を深めることになる」と指摘。米国は「冷戦思考を捨て」、「国際社会と地域の平和と平穏に資することをもっと行う」べきだと述べた。(c)AFP/Theo MERZ with Sylvie LANTEAUME in Washington