【8月20日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)両大統領は19日、仏南部の地中海沿岸にある大統領別邸ブレガンソン(Bregancon)城塞(じょうさい)で、4時間半にわたり会談した。両大統領は、ウクライナの変化は同国東部での和平を実現する好機だとの見方で一致したが、シリア情勢をめぐっては対立を見せた。

 プーチン氏が欧州連合(EU)主要国を訪問するのはまれ。会談は、穏やかで過ごしやすい夕方に行われた。プーチン氏は、夕食会の後、午後11時半(日本時間20日午前6時半)ごろに現地を後にした。

 ロシアと西側諸国の緊張が高まり続ける中、マクロン氏はロシア政府との接触を維持したいとの考えを明確に示した。

 両大統領は会談で、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の誕生により、5年に及んでいる紛争が終息する可能性が高まったとして、楽観的な見通しを示した。またマクロン氏は、ウクライナ東部での戦闘を終結させるため、フランス、ウクライナ、ロシア、ドイツによる、いわゆるノルマンディー(Normandy)方式の首脳会議を「今後2、3週間のうちに」行いたい考えを示した。

 ロシアは2014年、ウクライナの黒海(Black Sea)沿岸にあるクリミア(Crimea)半島を併合。これが国際社会に認められず、当時の先進8か国(G8)から除外された。

 両大統領は、ロシア政府がバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の主要な支持者となっているシリア内戦や、モスクワでのデモ参加者に対する厳しい取り締まりをめぐっては公然と対立した。

 マクロン氏が欧州リベラリズムの擁護者を自認する一方で、プーチン氏はロシアで20年にわたり権力を掌握してきた。2017年にマクロン氏が大統領に就任して以降、両者の間には警戒と緊張の色が目立っている。

 プーチン氏は、ロシア当局によるモスクワでの反政府デモ取り締まりについて記者団に問われ、フランスで昨年11月に始まった反政府運動「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」のような事態がモスクワで起こることは望まないと述べた。ジレ・ジョーヌ運動は社会格差に抗議するもので、現在は一定の沈静化を見ているものの、一連の騒ぎでマクロン政権は大きく揺さぶられた。

 マクロン氏は今月24日から26日まで、仏南部ビアリッツ(Biarritz)でドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領ら各国首脳を招き、先進7か国(G7)首脳会議(サミット)主催する。

 映像前半はプーチン氏が乗ったヘリコプターの着陸様子を撮影する観光客ら、19日撮影。後半は首脳会談、19日撮影・提供。(c)AFP/Laurence BENHAMOU and Stuart WILLIAMS in Paris