【8月20日 AFP】スーダンで4月に失脚したオマル・ハッサン・アハメド・バシル(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)前大統領の収賄罪を問う初公判が19日に開かれ、捜査当局は、前大統領が複数のサウジアラビア王族から計9000万ドル(約96億円)の現金を受け取ったと供述していると述べた。

 30年にわたり独裁体制を敷いていたバシル前大統領はダルフール(Darfur)紛争に関与したとして、国際刑事裁判所(International Criminal CourtICC)によって戦争犯罪、人道に対する罪、ジェノサイド(大量虐殺)など多数の罪で起訴されているが、今回の裁判では収賄罪のみが問われている。

 数か月にわたる辞職要求デモの末に前大統領が失脚した後、その邸宅から大量の現金が見つかった。今回裁判に持ち込まれたのは、その捜査全体の一部だという。
 
 捜査当局者は見つかった大量の現金について、「国家予算とは別に使うためにサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子から送金された2500万ドル(約27億円)の一部だと、被告が供述した」と述べた。

 同当局者によると、前大統領は2015年に死去したサウジのアブドラ国王(King Abdullah)からも2回にわたって、それぞれ3000万ドル(約32億円)と3500万ドル(約37億円)を受け取ったと供述。それについても「この金は国家予算の一部ではなく、使うには私の許可が必要だった」と話している。

 また前大統領はこれらの金をどうやって換金し使用したかは思い出せず、これ以上の詳細を示せる記録などは持っていないと述べているという。

 AFPの取材班によると、前大統領は白い伝統服を着用して出廷。3時間近くに及んだ審理中は金属製のおりの中に座り、落ち着いた様子だった。次回公判は8月24日に予定されている。(c)AFP / Abdelmoneim Abu Idris Ali