【8月20日 AFP】米国のマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官は19日、英領ジブラルタル(Gibraltar)沖で拿捕(だほ)されたイランの大型石油タンカーが解放されたことについて、「非常に残念」と不満を示し、同盟関係にある英国を暗に非難した。

「グレース1(Grace 1)」をめぐっては、米国がタンカーの差し押さえを要請していたものの、ジブラルタル当局がこれを拒否。タンカーはジブラルタル沖から出航し、公海に進入していた。

 米FOXニュース(Fox News)に出演したポンペオ氏は、タンカー解放は英国のミスだったか問われると、「船が解放されたことは非常に残念だ」と述べた。

 ジブラルタル当局は先月4日、欧州連合(EU)の制裁に違反してシリアへ原油を輸送していた疑いがあるとしてタンカーを拿捕。これによりイランと英国の関係は急速に悪化した。イラン側は制裁違反について繰り返し否定している。

 ジブラルタルの最高裁は今月15日、タンカーの解放を命じた一方、イラン当局は「アドリアン・ダリヤ(Adrian Darya)」と改名したこのタンカーの運航のために、新たな乗組員がすでに到着していると発表した。

 米司法省は翌16日、同国がテロ組織に指定しているイラン革命防衛隊(IRGC)によるシリアへの違法輸送に関与していたとして、タンカーの差し押さえを要請。ジブラルタル自治政府は、米国の対イラン制裁はEU内に適用されないため、タンカーの差し押さえ命令を出すよう裁判所に求めることはできないとして、米国の要請を退けた。(c)AFP