【8月20日 AFP】米国防総省は19日、地上発射型の中距離巡航ミサイルの発射実験を実施したと発表した。米国は数週間前、冷戦(Cold War)時代にロシアと締結した中距離核戦力(INF)廃棄条約を破棄したばかり。実験に使われたミサイルは核弾頭の搭載が可能なもので、同条約で禁じられていた。

 ミサイルは18日、米海軍の管轄下にあるカリフォルニア州ロサンゼルス沖のサンニコラス(San Nicolas)島から発射された。国防総省は声明で「実験ミサイルは地上移動式発射装置から発射され、500キロ以上飛行した後、標的に正確に命中した」「今回の実験で回収されたデータと得られた教訓は、国防総省の中距離戦力開発に活用される」と説明した。

 実験されたミサイルは核弾頭を搭載していない「通常構成」とされるが、今回の実験は、米政府が今月2日のINF廃棄条約失効を受けて核戦力を強化していることを示唆している。

 米政府は、ロシアが近年、INF廃棄条約に違反してきたと非難していた。同条約の失効により、危険な核軍拡競争が新たに起きる恐れが広く懸念されている。(c)AFP