【8月19日 AFP】南太平洋地域の独立国・自治政府で構成する「太平洋諸島フォーラム(PIF)」の有力加盟国の首脳が、オーストラリア政府の「新植民地主義的」な姿勢、および気候変動に対する早急な行動を同国が拒絶していることを批判し、同国はPIFから追放されるべきだと訴えた。

 先週ツバルで開かれたPIF首脳会議は、気候変動で存亡の危機にひんする島しょ国側と、石炭業界に好意的な豪政府が反目。

 米ニューヨークで来月開かれる国連(UN)気候行動サミットを控え、気候変動をめぐり世界に向けて行動を呼び掛けるメッセージを発しようとしていた参加国の首脳らを黙らせたとして、オーストラリアは批判を浴びている。

 マイケル・マコーマック(Michael McCormack)豪副首相は、島しょ国の懸念を一蹴し、「こっちに来て果物を収穫して」生計を立てれば良いとの侮辱を口にした。

 ツバルのエネレ・ソポアンガ(Enele Sopoaga)首相は、マコーマック氏の発言を「無礼で侮辱的」だとし、豪州にPIFの加盟国資格に疑問を投げかけた。

 ソポアンガ首相はニュージーランド国営のラジオ・ニュージーランド(Radio New Zealand)の取材に対し、「彼ら(豪政府)はパシフィックウエー(Pacific way)の精神が分かっていない。私は彼らが何も理解していないと思っている」と語り、「もしそうならば、彼らがPIFの首脳会議にとどまる意味は何だというのだ?私にはいかなる意義も見いだせない」と続けた。

 同首相は今回の気候変動をめぐるPIFでの騒動について、「宗主国」が議題を決めていた数十年前の地域会合を思い起こさせたと指摘。「彼らが話したことに、この新植民地主義的な姿勢の反映および表明が見て取れる」と語った。

 これに先立ち、フィジーのボレンゲ・バイニマラマ(Voreqe Bainimarama)首相も先週末、スコット・モリソン(Scott Morrison)豪首相を「とても無礼」と非難し、より友好的な外交を持ちかけているとして中国を持ち上げていた。

 太平洋の島しょ国は、豪政府から毎年合計約14億豪ドル(約1010億円)の支援を受け取っている一方、両者の関係は複雑だ。

 島しょ国側は寛大な支援を受けているにもかかわらず、豪政府当局者が「自分たちの裏庭」と呼ぶなど、太平洋地域に対するオーストラリアの姿勢にたびたびいら立ちを見せている。(c)AFP/Neil SANDS