【8月19日 AFP】何千年も前、古代エジプト人は水草を編み上げた船で、はるか黒海(Black Sea)まで旅したのだろうか。8か国から集まった20人以上の研究者とボランティアによるチームが16日、同様の船を使い、逆ルートで黒海からエジプトを目指す試みを開始した。

 この日、ブルガリアのバルナ(Varna)港を出発した全長14メートルのアボラ4号(Abora IV)は、ボスポラス(Bosphorus)海峡、エーゲ海(Aegean Sea)、ギリシャ・クレタ(Crete)島を通り、700カイリを航海する。

 遠征チームのリーダーを務めるドイツ人考古学者ドミニク・ゲルリッツ(Dominique Goerlitz)氏(53)はAFPの取材に、特に古代ギリシャの歴史家ヘロドトス(Herodotus)によって信ぴょう性が高いとされた説を証明したいと語った。ヘロドトスは「エジプト人は地中海東部では入手できない物資を求め、黒海まで航海した」と記している。

 船の設計は、エジプトとカフカス(Caucasus)地方に残る古代の岩絵を参考にしたという。造船には、南米ボリビアのチチカカ湖(Lake Titicaca)周辺に住む先住民アイマラ(Aymara)のフェルミン・リマチ(Fermin Limachi)氏とその息子が参加した。

 船体は、トトラと呼ばれる水草の大きな束を何本もの縄で組み上げて造られた。リマチ氏によると、トトラ12トンと全長2キロ分の縄を使い、62平方メートルと40平方メートルの2枚の帆が張られている。

 ゲルリッツ氏は、この船がエーゲ海の航行困難な島棚も通り抜けることができるかという点が最大の焦点だと述べた。(c)AFP/Diana SIMEONOVA