【8月19日 AFP】アイスランド西部で18日、気候変動で失われた同国初の氷河「オクヨクットル(Okjokull)」があった場所の岩に設置された「未来への手紙」を刻んだ銘板の公開式典が行われた。

 式典には今回のプロジェクトを発案した地元および米国のライス大学(Rice University)の研究者らをはじめ、カトリン・ヤコブスドッティル(Katrin Jakobsdottir)首相、メアリー・ロビンソン(Mary Robinson)元国連(UN)人権高等弁務官、科学者やジャーナリスト、一般の国民など数百人が徒歩で現地に赴いて出席した。

 ライス大学のシミーン・ハウ(Cymene Howe)准教授によると、気候変動で消失した氷河を記念するモニュメントは世界で初めてだという。

 ヤコブスドッティル首相はAFPの取材に「この式典がアイスランドにいる私たちだけでなく、世界中の人々にとってもインスピレーションになることを希望している。ここでわれわれが目撃していることは、気候危機のほんの一部にすぎないからだ」と語った。

 銘板には、「今後200年間、われわれの氷河はすべて同じ道をたどると予想されている。このモニュメントは、何が起きており、何をする必要があるのかをわれわれが知っていることを確認するものだ。それが成し遂げられたかどうかは、あなた方だけが知っている」という「未来への手紙」が刻まれている。氷河の減少と気候変動の影響についての関心を高めることが狙いだ。

 アイスランド大学(University of Iceland)の2017年の報告書によると、オクヨクットルは1890年には16平方キロを氷で覆っていたが、その面積は2012年までにわずか0.7平方キロに縮小していた。

 アイスランド気象庁(Icelandic Meteorological OfficeIMO)は2014年、「この氷河はもはや生きた氷河ではなく、動いていないただの氷だ」と判断し、オクヨクットルはアイスランドの氷河としては初めて消失したと宣言されていた。氷河と認定されるには、氷と雪がそれ自体の重さで動くのに十分な、約40~50メートルの厚さが必要だとされている。

 先月は世界的に観測史上最も暑い7月となった中、科学者らは他にも約400の氷河が同じ運命をたどる恐れがあると警告している。(c)AFP/Jeremie RICHARD