992型911がついに日本上陸。 といっても、まだナンバーが付いていないため公道は走れない。そこで、その姿を一般に初公開する"ポルシェ・スポーツカー・トゥギャザー・デイ"の早朝に、会場となる富士スピードウェイの本コースを走らせてもらえることになったのは良かったが、なんと当日はあいにくの雨模様。コース上を川が流れるようなハード・ウェットのサーキットで日本初試乗 するハメになったのだ。しかも、日本にある992型はたったの2台で、どちらもこの日のイベントに展示することになっている。クラッシュはもちろんコース・アウトも絶対にダメというきついお達しを受けてのコース・インとなった次第である。

私はこれまでに2度、海外でこの新型911に試乗している。最初は今年の1月にスペインのバレンシアで開かれた国際試乗会で、この時の天候はドライだったが、一般道とサーキットの他にウェットのテスト・コースが用意されていて、そこで新型に新たに標準装備されたウェット・モードの実力を試した。しかし、992型のスタビリティは凄まじく向上しており、後輪駆動のカレラSでノーマル・モードのままウェット・コースを走っても、ほとんど苦もなく走れてしまう。特別にウェット・モードの必要性を感じることなしに試乗を終えることになったのだ。

それは2度めとなる、5月にドイツ本社で広報車を借り出し、黒い森へ試乗旅行した際も同じだった。途中、山道を走っている時に大雨に襲われることになったのだが、ウェット・センサーが作動して、「コーション / プリーズ・アダプト・ドライビング・スタイル / スウィッチ・オン・ウェット・モード」とインパネに表示されたものの、特にその必要を感じないくらいクルマは安定していた。それでも指示通りウェット・モードにしてみると、なるほどさらに安心感が増した気がしたのは、単なる気のせいなのか、それともクルマが不安な要素を潰してくれているおかげなのか、判別し難かった。

しかし、今回ばかりは雨の富士スピードウェイを走って、ウェット・モードの凄さと有難みをつくづく実感させられることになったのである。 なにしろ、ノーマル・モードで走り始めたところ、ちょっと強めにブレーキを踏んだだけでお尻がムズムズと動き出すような状態だったのだ。すぐにインパネにウェット・センサーの警告が出た。「注意 / 走行スタイルを適応させてください / WET モードをONにしてください」。その直訳ぶりに苦笑しながらも、すぐに言われた通りにステアリングホイールのロータリー・スイッチを操作してウェット・モードをオンにした。

正直言って、ウェット・モードでも、まだ少し滑る感じがあるほどのヘヴィ・ウェット・コンディションだった。それでも、まるで違うくらいに安心感があったのは、スロットル、ブレーキ、ステアリング、リア・アクスル・ステアリングなどすべての制御が次に起こる状態を予測し、先回りしてより安定する方向へとクルマを導いてくれていたからだと感じずにはいられないくらい、スムーズに走ることができたのだ。そして何よりも素晴らしいと思ったのは、 決して電子制御の介入を必要以上に感じさせることなく、あくまでドライバーが自らの意思でクルマを操っている感覚が最後まで強く残されていることだった。なるほど、ポルシェがウェット・モードを標準装備にしたのは何も安全第一のためだけではない。雨でも運転を楽しめるようにするためなのだ、と合点がいった

 

カレラS クーペ

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  •  駆動方式 エンジン・リア縦置き後輪駆動
  •  全長×全幅×全高 4519×1852×1300㎜
  •  ホイールベース 2450㎜
  •  車両重量(DIN)  1515㎏
  •  エンジン形式  直噴水平対向6気筒DOHCツイン・ターボ
  •  総排気量  2981cc
  •  ボア×ストローク  91.0×76.4㎜
  •  最高出力  450ps/6500rpm
  •  最大トルク  54.0kgm/2300-5000rpm
  •  トランスミッション  8段自動マニュアル(PDK)
  •  サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル
  •  サスペンション(後) マルチリンク/コイル
  •  ブレーキ  (前後)通気冷却式ディスク
  •  タイヤ  (前)245/35ZR20、(後)305/30ZR21
  •  車両本体価格(税込)  1666万円

文=村上 政(ENGINE編集部)  写真=神村 聖

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