【8月18日 AFP】内戦が続くイエメンで、暫定政権が拠点を置く同国第2の都市アデン(Aden)を政権側から掌握していた南部独立派「南部暫定評議会(STC)」の武装勢力が17日、占拠していた主要公共施設を政権側に明け渡した。アブドラボ・マンスール・ハディ(Abedrabbo Mansour Hadi)暫定大統領が率いる暫定政権が明らかにした。

 暫定政権とSTCは元来、首都サヌアを掌握する親イランのイスラム教シーア派(Shiite)系の武装組織フーシ派(Huthi)打倒を目指す共闘関係にある。だがアデンで10日、激戦の末にSTC側の武装勢力が大統領宮殿などの主要施設を占拠。暫定政権側はSTCが撤退しない限り、STCとの関係改善に向けた対話には応じないと明言していた。

 しかし、暫定政権のムアンマル・イリヤニ(Muammar al-Iryani)情報相は17日、STC側の兵士は大統領宮殿、最高裁判所、中央銀行や総合病院から撤退したとツイッター(Twitter)に投稿。内務省や製油所でも引き揚げの準備が進んでいるという。

 暫定政権を支援するサウジアラビア主導の連合軍も同日、占拠されていたアデンの施設は連合軍の監視下で暫定政権に引き渡されると発表。さらに、関与する全勢力に向けて、「イランのイエメン破壊計画」を阻止しアルカイダ(Al-Qaeda)や「イスラム国(IS)」分派などのイスラム過激派による攻撃を防ぐべく「団結」するよう呼び掛けた。

 STCの武装勢力は、サウジ主導連合軍の主要メンバーであるアラブ首長国連邦(UAE)から戦闘訓練や軍備提供を受けている。UAEには、STC支援を通じてイエメン南部での基盤を固めたいとの狙いがある。(c)AFP