【8月17日 時事通信社】インドがパキスタンと領有権を争う北部ジャム・カシミール州の自治権を剥奪し、直接支配を強めている問題で、反発するパキスタンを伝統的友好国の中国が支援している。中国も同州の一部でインドと領土紛争を抱えているためだ。

 インドは「内政問題」と主張してカシミールへの介入を拒むが、国連安全保障理事会は16日、中国とパキスタンの要請で自治権剥奪に関し緊急会合を開催。出席した張軍・中国国連大使は、「関係国は緊張を悪化させる一方的行動を控えるべきだ」という見解が示されたと説明した。

 インド政府は5日に同州の自治権剥奪を決定。パキスタンのクレシ外相は9日、急きょ訪中して王毅外相と会談した。王氏は「パキスタンが正当な権益を守ることを断固支持し、国際的舞台でパキスタンのために正義を主張する」と約束。中国が安保理常任理事国を務める国連の場で国際問題化するという意思表示だった。

 中印は同州東部ラダック地方の領有権を争い、実効支配線でにらみ合っている。2017年にはラダック地方で両国軍が小規模な衝突を起こし、中国がインドに抗議したこともある。

 王氏は12日、北京で会談したインドのジャイシャンカル外相に「情勢を複雑化させる一方的行動に反対する」「中国の主権と権益への挑戦だ」と非難した。ジャイシャンカル氏は「中印国境の実効支配線の変更ではない」と釈明に追われた。

 一方で中国は米国との対抗上、インドを含む周辺国外交を強化している。17年にカシミールとは別の国境地帯で軍事衝突寸前まで悪化した中印関係はその後改善し、10月には習近平国家主席がインドを訪問する予定。中国は「印パは共に中国の友好的隣国だ」(王外相)ともアピールし、パキスタン側に過度に偏らないよう苦慮している。(c)時事通信社