【8月30日 AFP】たいてい「大きい方が良い」と考えられている米国で(例えば特大サイズのフライドポテトや大きな車、テンガロンハットなど)、住まいを「コンパクト化」する人が増えている。

 広さ40平方メートルにも満たないことが多い「タイニーハウス(小さな家)の世界」へようこそ。ミニマリストであることをアピールしたい人や、二酸化炭素の排出量を気にする人たちがこの世界へ足を踏み入れている。

 トレーラーハウスも含めたタイニーハウスの購入者が増加している一因は、販売価格の安さだ。家具・インテリア付きの18平方メートルほどの家だと、5万ドル(約530万円)程度で販売されることもある。

 夫と息子2人と一緒に暮らすブランディ・ジョーンズ(Brandy Jones)さんは「住宅危機です」「手頃な価格で良質な暮らしにめぐり会うことはそうそうないんです」と話した。

 ジョーンズさん一家は昨年、ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)から北西に約100キロ離れたレディング(Reading)のタイニーハウスに移り住んだ。ジョーンズさんによれば、同地域で一般的な新築の住宅を購入するなら30万ドル(約3200万円)ほどかかる。タイニーハウスという選択肢があれば大いに助かるし、無理なく暮らせるという。

 今年、妻と一緒に34平方メートルの家に引っ越したスコット・バリアー(Scott Berrier)さんは、以前ほど物を多く持たなくなったことがうれしいと語った。

「私たち夫婦は物を減らし、片付いた家で暮らし、ミニマリストに近づけることが本当にうれしいんです」。バリアーさんはこう話し、自分たちの家はシンプルで機能的だと付け加えた。

「これまでの暮らしと最も違う点は、どの空間も使っているということです。無駄な空間なんてありません」

 ■コンパクト化拡大の壁

 一部の人々の間では増えつつあるタイニーハウスだが、大きな広がりを見せているというほどではない。拡大を阻む障壁の一つは財政面だ。従来の一般的な広さの家でない場合、これまでの住宅ローンを組むことは難しい。

 そして一番高い壁となっているのが法律だ。多くの自治体は、住民が一年を通してトレーラーハウスなど移動可能な家に住むことを禁じているほか、住宅の広さは83.6平方メートル以上と法令により定められた自治体もある。

 映像は6月5日撮影。(c)AFP/Thomas URBAIN